2021.11.30 【産業機器・ロボット用部品特集】中長期成長の最重点市場自動化が加速
市場が拡大する産業用ロボット
産業用ロボットや各種産業機器は、世界的な自動化ニーズの高まりやデジタルシフトが進む中で、一段と重要性が増している。昨今のコロナ禍を背景とした非接触ニーズの高まりも、社会全体の自動化の動きを加速させている。電子部品メーカー各社は、産業機器/ロボット市場を中長期の成長のための最重点市場の一つに位置付け、積極的な新製品開発と営業・マーケティング活動の強化を推進する。
ロボット産業は、21世紀を代表する基幹産業に位置付けられ、高機能化の進展とともに、ワールドワイドで高い成長が期待されている。ロボット市場は、産業用ロボット/非産業用ロボット(サービスロボット)で構成され、ともに中長期で飛躍的に需要が拡大していくことが見込まれる。
FA機器や工作機械、半導体製造装置などの需要も、自動化・省人化ニーズやデジタルシフトの進展、さらに昨今の働き方改革の推進の観点などによって、今後の成長が期待されている。
電子部品メーカー各社は、これまで培ってきた技術を応用し、高性能化や小型・高密度化が進むロボットや製造装置向けの部品・モジュールの技術開発を加速させている。
FA機器・産業用ロボットの需要動向は、2018年前半まで非常に好調な状態が続いていたが、その後の米中貿易摩擦を起点とした中国での設備投資需要の減退や世界的な自動車販売低迷により、18年秋以降は停滞が続いた。さらに20年は年明けからの新型コロナウイルス感染症の世界的な感染拡大に伴う設備投資意欲減退などから年前半は厳しい状況が継続し、自動車や民生デジタル機器需要が回復に向かった20年夏以降も、産業機器やロボットの需要は低調が続いた。
関連需要は回復傾向
その後、FA関連需要は20年末ごろから反転し、21年の年明け以降、順調に回復。今期4月以降も、当初の予測を上回る好調な生産が続いた。電子部品メーカー各社の今年度上期(4~9月)の産機市場向け売上高は、多くの企業が前年同期比で大幅な増収となっている。
一方、半導体製造装置需要は、20年の序盤には一次、新型コロナによるマイナス影響を受けたが、その後は「ニューノーマル(新しい日常)社会」に向けたIT投資拡大に伴うデータセンター需要増加などにより、長期にわたり極めて好調な生産が続いている。
産業用ロボットは、スマートファクトリー化へのニーズが一段と増す中で、多関節ロボット、パラレルリンクロボット、協働ロボットといった高性能なロボットの需要が、今後さらに広がりを見せることが予想されている。ロボットユーザーの業界別では、先行していた自動車業界に加え、さまざまな業績での導入が広がりつつある。
世界の産業用ロボット市場の中で、日本のロボットメーカーは高いプレゼンスを持っており、今後も産業用ロボットのグローバル市場が拡大する中で、存在感を増していくことが期待されている。
加えて、少子高齢化に伴う労働人口減少への対応や、安全で快適・便利な社会の実現、地方での過疎化対策、働き方改革推進などのため、今後はサービスロボットの市場がより速いスピードで成長していく見通し。特に世界的な労働者不足の深刻化に対処するための自動化要求は、今後も年々強まっていくことが予想されている。さらに、コロナ禍による人との接触を避けるニーズも、ロボット産業の拡大を押し上げていく見通し。
サービスロボットは、介護・福祉ロボットや災害対策用レスキューロボットなどの業務支援ロボット、会話や受け付け業務を行うコミュニケーションロボットなど多様な種類がある。
ロボットに搭載される部品には、モーターやセンサー、アクチュエーター、光学部品、無線通信モジュール、タッチ入力デバイス、音声認識デバイス、電源、受動部品、接続部品などがある。電子部品メーカー各社は、ロボットの高性能化や高精度化、小型・軽量化、安全性向上などに寄与する技術開発を加速させ、新たなビジネスの獲得を目指す。