2021.11.30 日本MS、教育機関向けOS投入価格抑えたPC出荷開始

30日から出荷が始まるサーフェスラップトップSE

中井 統括本部長中井 統括本部長

 日本マイクロソフト(MS)が、教育分野の製品戦略を強化している。30日には、教育機関向けに特化した新たな基本ソフト(OS)「ウィンドウズ11SE」を搭載しつつ、大幅に価格を抑えたノートパソコン(PC)の出荷をスタート。昨年の「GIGAスクール構想」特需が一段落した市場に安価な新製品を投入し、シェア拡大を狙う。

 ウィンドウズ11SEは、ウィンドウズ11のデスクトップ上のウィンドウを整理する「スナップウィンドウ」の機能を制限するなど、小中学生向けに再構成した。低いスペックでも快適に動作する設計で、クラウドでデバイス管理できる。

 高校や大学での利用は、グラフィックデザインやeスポーツなどよりハイスペックな用途には、ウィンドウズ10やウィンドウズ11プロエディションなどで対応する。

 ウィンドウズ11SEを搭載する教育機関限定のノートPCとして、30日から出荷を開始するのが「サーフェスラップトップSE」だ。ハイビジョンに対応する720p HDビデオでオンライン学習を支援するほか、バッテリーの駆動を最大16時間確保し、学校から持ち帰った後も宿題などに利用できるようにした。メモリー4ギガバイト、記憶容量64ギガバイトモデルが税別2万7800円、メモリー8ギガ、記憶容量128ギガモデルが同3万6800円。国内では30日から出荷を始める。

 小中学生に1人1台の端末を配布する政府のGIGAスクール構想による特需が一段落する中、業務執行役員文教営業統括本部長の中井陽子氏は「いったんは小中学校に導入が進み、最低でも3~5年は使うと思う」と説明。その上で「即時に動くとは思っていないが、先進国では学年に合わせてデバイスを変えるケースも起きている。SEのようなニーズがあったものを提供していく」と語った。

 市場調査コンサルティングのMM総研が全国の自治体を対象に実施した調べでは、GIGAスクール向けに調達した約750万台の端末総数のうち、搭載しているOS別に見ると、クロームが43.8%でトップ。次いで米アップルのiPadが28.2%、ウィンドウズは28.1%だった。端末のメーカー別出荷台数では、アップルのiPadが約210万台と首位で、ウィンドウズとクロームの搭載機ではレノボが約151万台だった。

 GIGAスクールで小中学生には1人1台の端末整備が進んだが高校では未整備の学校が多い。高校生のPC整備を巡っては公的負担だけでなく、保護者の負担も検討されており、各社の動向が注目されている。

 中井氏は「ウィンドウズ11SEが高校市場を狙ったものかと言えばそうではない。より買いやすいものを増やす意味で出した」と強調。シェアを拡大しているクロームとの競合については、OEM(相手先ブランドによる生産)によりこれまでも低価格なPCを提供してきたとして「SEをクローム対抗として出しているわけではない」と説明した。