2021.12.09 インフラ分野で出番が増える黒子役AI活用で総合電機メーカーが存在感
東芝エネルギーシステムズ子会社、シグマパワー有明の三川発電所。異常の予兆を検知するAIの実証試験が推進中だ=福岡市大牟田市(提供:東芝)
日進月歩で精度の高まる人工知能(AI)の活躍の舞台が、社会インフラの分野でも広がり始めた。仕掛けるのは大手総合電機メーカー。東芝からはプラントに設置したセンサーから得た膨大なデータから異常の兆候を素早く検知するAIが登場した。インフラの運用や保守業務を陰で支える「黒子役」の出番が増えそうだ。
大規模で複雑なプラントには、多様なシステムや機器を監視するために数千点に上るセンサーが取り付けられている。ただ、現場で働く熟練者の高齢化や人材不足の問題を抱える中、運転員がセンサーの全ての値を常に監視する対応は難しいのが現状だ。
そこで東芝は、複数の要因が同時に重なって変動する「プラントの状態」に埋もれた異常を高い精度で見つけ出すAIを開発。発電所での実証実験で、有効性を確かめた。
一方、上下水道や電気などのインフラ事業者や関連の施工・設計者向けに展開する地中の可視化サービスを強化したのが、日立製作所と地質調査大手の応用地質だ。
レーダー探査装置を搭載した車を走らせて路面下の画像を取得。得られた画像をAIで解析し、埋設物の位置や寸法などを把握できるようにする。両社は今回、その解析精度を高めることに加えて、必要な場所の埋設物情報がいつでも閲覧できるオンデマンドサービスを用意した。
(10日付電波新聞と電波新聞デジタルに詳報します。)