2021.12.16 東芝、株主総会問題で再発防止策 行政幹部との接触記録保存など

 東芝は16日、昨年の定時株主総会を巡る一連の問題に関する再発防止策を策定したと発表した。株主との健全な信頼関係づくりを防止策の柱の一つと位置付けるとともに、行政庁の幹部公務員と接触する際に記録を残す対応などを盛り込んだ。コーポレートガバナンス(企業統治)の再構築も目指す。

 再発防止策を実行することで、「本件により棄損された株主をはじめとするステークホルダー(利害関係者)の信頼を回復するよう、全力で努力する」とも明記した。

 再発防止策では、外国投資ファンドなどの株主に触れ、一面的な見方に陥ったり偏見や先入観にとらわれたりすることなく、取締役や執行役による対話などを通じて経営方針への理解を得る努力を続ける対応を盛り込んだ。

 さらに東芝グループ全ての役職員を対象に、行政庁とやり取りする際の行動指針を定めることも明記。東芝の取締役や執行役らが幹部公務員と接触する場合、その概要を記録して保存。取締役は接触記録を閲覧し、具体的な内容の報告を求められるようにした。

 企業統治の再構築に向けては、取締役会や監査委員会などの実効性を評価するため、取締役が相互に「個人別評価」を行う仕組みを採用。取締役の指名基準や執行役の選任基準で「社長や取締役会議長は高い倫理観を有している者を選定する」と定められていることをあらためて確認するとも明記した。

 東芝が昨年7月の定時総会で不公正な運営が指摘された問題をめぐり、同社のガバナンス強化委員会は11月、調査報告書を公表。同社経営陣が経済産業省と連携して一部株主に不当な圧力をかけたと指摘した6月公表の報告書を受けた再調査で、関係する執行役や取締役について「善管注意義務違反を認めることはできない」と結論付けた。一方、行政庁へ過度に依存する体質などを問題視していた。