2021.12.20 三菱電機 工場の「見える化」推進「イーファクトリー」のソフト拡充

「GENESIS64」の画面例

古谷 事業部長古谷 事業部長

 三菱電機は、IoT技術を活用したFA統合ソリューション「イーファクトリー(e-F@ctory)」向けソフトウエアを拡充している。FAとITのデータを一元管理し、遠隔で工場の監視・制御を行うソフト「GENESIS64」が好評を博している。

 イーファクトリーは、IoT技術を活用したFA統合ソリューション。基盤を形成するFA統合プラットフォーム「iQ Platform」に、さまざまなFAコンポーネントを通信ネットワークでつなぎ、高度な技術と情報を活用して工場の最適化を図ることで、開発・生産・保守の全般にわたるトータルコストを削減する。2003年から推進しており、顧客への納入はこれまでにグローバル約3万5000件の実績がある。イーファクトリーと連携する高度な技術と、豊富なノウハウを持ったパートナーは、現在約1100社になっている。

 FAシステム事業本部機器事業部・古谷友明事業部長は「国内外で生産自動化、省人化の関心は高い。イーファクトリーは認知度も高まり、市場への普及が進んでいる。イーファクトリーをより使いやすくするために発売したSCADA(監視・制御)のGENESIS64は、市場の高い評価を受けている。また、デジタルツイン技術を応用した3Dシミュレーターの市場投入も予定している」と話す。

 GENESIS64は、工場の生産設備や製造の状況、品質といったデータを全て見える化して、工場全体を監視・制御を可能にするソフト。これらの情報を一元管理して分析することで、生産能力・品質・稼働率を向上させ、生産改善、TCO削減といった顧客の課題解決に結び付く。

 ネットワークがつながっていれば、本社と海外工場など世界中どこでもモニタリングできる。OPC(産業オートメーション分野の標準規格)、MODBUS(米・Modicon社が開発したPLC用のネットワーク)などでFA業界標準のオープンなプロトコルに対応しており、さまざまな機器と簡単に接続できる。

 古谷事業部長は「遠隔で工場の見える化を行いたいというニーズが増えている。GENESIS64を導入することで、例えば中国など海外で稼働する工場の設備の監視、生産状況が確認できる。GENESIS64Advancedを出していたが、同Basicを追加発売した」と説明する。

 デジタルツイン技術を活用した「3Dシミュレーター」は、同社のシーケンサーMELSEC-Q/iQ-Rと接続し、設備/装置の3D設計モデル(=仮想メカモデル)を使った実機レスな制御ソフトの検証を実現するソフト。

 古谷事業部長は「机上でシミュレーションすることで、実際に設備を動かす時に立ち上げ時間が大幅に短縮できる。来年1月に開催されるIIFES展で参考出品し、2022年度中には本格的に市場に投入したい」と述べる。

 さらに、同社のイーファクトリーをより使いやすくするソフトとして、製造業のあらゆる工程の改善を促進するためのEdgecross対応ソフトや、データ分析・診断ソフト、省エネ分析・診断を行う「EcoAdviser」などを拡充している。