2021.12.23 三菱電機、品質不正で14人を処分改革の進捗状況も発表

品質不正問題を説明する漆間社長

 三菱電機は23日、長崎製作所(長崎県時津町)など複数の製作所で行われていた品質不正問題の続報を発表した。10月1日に公表した調査結果の第2報で、新たに判明した不正は29件。ETC設備を生産する鎌倉製作所(神奈川県鎌倉市)などで新たな不正が見つかった。

 経営責任も明確化し、役員を処分。漆間啓社長が月額報酬の4カ月分を50%減額、柵山正樹前会長と杉山武史前社長には退任時の月額報酬50%・6カ月分の自主返納を要請。社外監査委員を含め14人の役員を処分した。

 遮断器などを生産する福山製作所(広島県福山市)では、第三者認証機関の定期検査をパスするために、量産品とは異なる「スペシャルサンプル」と呼ぶ製品を検査に使用するなどの不正が発覚。また、外部専門家による調査委員会(木目田裕委員長)が用意した専用アドレスに調査アンケートをメールするよう依頼していたが、回答は会社に提出するよう上司に指示されるなど、「率直にものを言いにくいというのが大きい。それを妨害しようとするのが甚だ問題」(木目田委員長)と指摘。次々と不正が出てくる状況についても「日本を代表する一流の製造業として残念」と報告書内で記した。

 22製作所のうち調査が完了したのは名古屋製作所可児工場(岐阜県可児市)のみ。22製作所の調査が残る上、寄せられたアンケートも6割が未着手としているが、4月に最終報告を出す計画は変更していない。

 調査結果の続報を受け三菱は、「品質風土」「組織風土」「ガバナンス」の三つで進める改革の進捗状況も発表。品質風土改革では、可児工場と長崎製作所で法令・規格・顧客仕様順守に向けたインフラ整備を決め、両拠点に4億9000万円を投資する。ガバナンス改革でも、さまざまなリスクに部門横断で対応する「リスクマネジメント担当執行役(CRO)」を来年1月に選任することも決めた。
(23日付電波新聞・電波新聞デジタルで詳報します。)