2021.12.28 プラットフォーム事業を主力事業並みに拡大収益規模で5年めど 中央電力の丹治保積・新社長
丹治 社長
マンションの一括受電のサービスでトップシェアを競う中央電力(東京都千代田区)の丹治保積・新社長(9日付就任)が、電波新聞社の取材に応じた。進めているプラットフォーム事業について、5年程度で、既存の主力事業と収益面で同等規模にまで拡大させる方針を明らかにした。マンション事業や電力小売事業などに次ぐ第3の柱と位置付け、新電力など向けにサブスクリプション(定額制)型で提供し、収益化を図る。
丹治社長は、通販サイト大手の楽天などを経て2020年12月、中央電力に入社。21年1月に立ち上げた100%子会社、中央電力DX(DX社)の社長に就任した。中央電力の社長就任以降もDX社の社長を兼務する。
DX社ではまず、中央電力社内のシステムや業務プロセスの改善などに従事した。電力小売事業における、申し込みや電力契約の切り替え、請求料金計算などの業務のシステム改善を中心に取り組んだ。「社内システムは業務ごとで、連係できていなかったり、販売できる仕様になっていなかったりした。プロフェッショナルな人材を投入し、業務プロセスの効率化を含めて整えさせた。結果、外部に提供しても遜色ないように改善できた」
新たなフェーズとして、開発したシステムや蓄積したノウハウ、人材を各地の新電力などに外部提供する事業を展開していくことにした。「(新電力などの電力事業者は)競争が激化している中で新規の顧客開拓に注力しており、システム投資がまだ足りていない」としてニーズを見込む。「電力会社が電力会社のために作ったシステムが強みだ」と強調する。
電力契約者の満足度を高めるため、ユーザーにポイントを付加する仕組みも開発、提供していく。こうした事業を「3~5年かけて、収益ベースで、既存の主力事業と同じ規模に拡大させる」との方針を示した。提供企業数の増加や、契約顧客の多い企業への導入に力を注ぐという。
同社は、マンションの電気料金が抑えられる一括受電サービスを中心に、マンションの住民らにより良い居住価値を提供するサービスを拡大。マンションに電気自動車(EV)の充電器設置を進めているほか、22年度末までに低圧の太陽光発電所を100カ所、計約5MW整備し、マンションに再エネ電力を供給することも公表している。
商業施設やビル、工場など法人向けの電力小売事業に14年に参入した。今年3月末時点で、約7800件、計35万kWの電力供給に拡大している。これらの事業に次ぐ柱としてプラットフォーム事業を推進し、高利益体質の確保を狙う。「三つの事業を、どうシナジーを利かせていくかが(私の)ミッションだ」と意気込みを語った。