2022.01.13 【放送/機器総合特集】放送機器各社 22年の戦略日立国際電気 伊藤明男副社長執行役員

伊藤 副社長

5G・AIでDX貢献

構築~保守運用ワンストップ

 長年にわたり無線・映像事業を手掛けてきた当社は、プライベートLTE/ローカル5Gのインフラ構築から保守運用をワンストップで提供している。

 2020年10月に、東京事業所内(東京都小平市)にローカル5Gを活用した新たなソリューションを協創する場として、「5G協創ラボ」を開設。Wi-Fi、プライベートLTE、ローカル5Gの実証環境を整備している。

 協創ラボを通じ、無線ネットワークで動作する各種アプリケーションや対応装置の実証実験をパートナーと実施している。

伊藤 副社長

 一方で、第5世代移動通信規格5Gと人工知能(AI)で、次世代社会インフラの実現のためにさまざまな取り組みも行っている。映像解析と制御が可能なAIカメラ「AI・エッジ・コントローラ(AEC)」は通信回線やクラウド側での処理を行わず瞬時に状況判断できるため、工場の事故防止や重要施設の侵入者検知に貢献できる。

 また、ローカル5Gを活用した高速道路トンネル内メンテナンス作業の効率・安全性向上に関する開発実証にも参加している。

 三菱HCキャピタルと共に、ローカル5Gの導入に必要な機器の整備、保守・運用などを毎月定額で提供するサービスを昨年12月から開始している。初期投資なくローカル5Gの導入を実現、お客さまの生産性向上に貢献していく。

 放送用カメラも強化。新しいカメラを先行的に欧州で販売し、スポーツ中継などで活躍している。8Kカメラで培ったHDR(ハイダイナミックレンジ)などの高画質デジタル映像処理技術や静音、高効率の放熱構造、ならびに小型化を実現。今後は、日本市場を含めグローバル市場向けに販売を予定している。

 監視用カメラは多用途に展開。鉄道車両のワンマン化支援の監視カメラや公衆LTEを内蔵したカメラも展開。LTE内蔵カメラは洪水など非常時にバッテリーと組み合わせたシステムで容易な設置が可能。現場の映像を捉えることができ、防災分野などでの活用が期待される。

 送信機は国内外で好調だ。当社のブラジルにある子会社のリニアール社が、ブラジル国内で計画が進むデジタル放送未整備地域のデジタル化の第1弾を受注。現地で設計から製造、メンテナンスまでワンストップでできることが大きな強みと見ている。

 国内では、地上デジタルテレビ放送の更新に向けて開発した低騒音、低消費電力、長寿命化の特徴を持った新製品が好調な動きを見せている。設備更新が進む民放局でのシェアアップへ向けての取り組みを進めている。

 2月7~10日の4日間、「安心が見える。安全が伝わる。」をテーマに、「日立国際電気ソリューションフォーラム」をオンラインで開催する。本フォーラムは、当社が取り組む最新の5G・AIのテクノロジーや各種ソリューションについての活用事例、お客さまの声など、今後の次世代社会を見据えた幅広い分野の事業・取り組みを紹介する。

 今年も、長年にわたり取り組んできた無線システムや映像システムのノウハウを最大限に生かして、5GやAIなどの新たな技術活用にチャレンジし、お客さまのデジタル・トランスフォーメーション(DX、デジタル変革)や各種社会インフラのDXに貢献していく。