2022.01.13 【放送/機器総合特集】22年 年頭所感衛星放送協会 小野直路会長

小野 会長

3チャンネルが新たに開局

魅力ある放送サービス拡大

 謹んで新年のお慶びを申し上げます。

 衛星放送協会は今年で発足から30周年を迎えます。1992年にCSアナログ放送の事業者認定に合わせて「CS放送協議会」として始まり、著作権団体との交渉を担い、当時の郵政省と情報交換会を開くなど、放送事業の発展に寄与してまいりました。

 放送事業者の飛躍的な増加に伴い、98年に一般社団法人衛星放送協会として再出発しました。これまでの会員社のたゆまぬ努力により、有料・多チャンネル放送は、専門チャンネルならではのオリジナリティーにあふれたコンテンツが注目を集め、多彩なサービスを提供するメディアに成長しております。

 BS右旋の衛星基幹放送業務の認定結果を踏まえ、BSよしもと、BS松竹東急、ジャパネットブロードキャスティングの3社で、21年度内に新チャンネルの開局が予定されております。BS放送は視聴者の多様なニーズに応え、魅力ある放送サービスが広がると考えております。

 新たなチャンネルの参入に伴い、帯域の再々編が行われました。衛星放送協会は、総務省の「BS右旋帯域推進連絡会」の中で「帯域再編推進運営委員会」を主宰しました。

 技術的な諸課題を解決するテストセンターを設置したほか、視聴者に不利益が生じないよう周知広報活動にも務め、技術・広報両面からサポートいたしました。ご協力いただきました会員社ならびに関係団体には改めて御礼申し上げます。

 衛星放送事業者の衛星利用料やアップリンク料の負担軽減は、事業者のコンテンツ投資を促進し、放送業界の発展につながると考えております。衛星放送協会では長年にわたり、こうした固定費の低廉化を事業計画の重要項目に据えて提案してまいりました。

 その結果、昨年10月に総務省の「衛星放送の未来像に関するワーキンググループ」から公表された報告書の中に、「インフラの利用料金の負担軽減」が盛り込まれ、検討が始まっております。

 衛星放送協会では「オリジナル番組アワード」を毎年開催して、受賞作品の周知に力を注いでおります。新型コロナの長期化で多くの番組制作が影響を受けましたが、昨年の受賞作品は、そうした時代の逆境から生まれたオリジナル作品でした。

 アクリル板を舞台演出に取り入れた演劇祭番組、オンラインを使ったラグビーチームとファンとの交流番組、自然災害に遭った鉄道会社と番組がネットワーク化して復興のパイプ役となった番組、地上波放送から姿を消したお笑い芸人を追ったドキュメンタリーなどです。

 今年も新しい時代の作品を期待し、オリジナル番組アワードを開催しますので、どうぞご期待ください。

 放送と通信のシームレス化が加速し、放送の常時同時配信に向けた整備も進んでいます。視聴者データを事業者が活用する個人情報の取り扱いや、著作権の処理などに課題も残されています。衛星放送協会は、事業者と一層強固なパイプを築き、関係省庁、団体と諸課題の解決に向けて取り組んでまいります。

 新しい年を迎え、一刻も早く平穏な日常が戻ることを祈念し、新年のごあいさつとさせていただききます。