2022.01.13 【放送/機器総合特集】22年 年頭所感日本放送協会 前田晃伸会長

前田 会長

「新しいNHKらしさ」体現

コンテンツ制作 経営資源を集中

 あけましておめでとうございます。

 本年もNHKの放送事業にご理解とご支援を賜りますよう、よろしくお願い申し上げます。

 昨年は、新型コロナウイルスの世界的な感染拡大が続く中で、相次ぐ災害への対応やコロナ禍の下での衆議院選挙への対応など、国民の命と暮らしを守り、健全な民主主義の発展に寄与するという公共放送・公共メディアとしての使命を果たすため、総力を挙げて取り組んだ一年でした。

 また、57年ぶりの自国開催となった東京オリンピック・パラリンピックでは、ほとんどの競技会場で無観客となる中、これまで以上に放送が重要な役割を担うこととなりました。スポーツの持つ魅力を、放送やインターネットなど多様な伝送路を通じてライブでお届けすることで、視聴者の皆さまに放送の持つ力を改めて実感していただけたのではないかと思います。また「ロボット実況・字幕」や「手話CG実況」などの先進的なユニバーサルサービスの一層の拡充にも取り組みました。こうした成果は今後に生かしてまいります。

 今年は3カ年の経営計画の2年目となります。視聴者・国民の皆さまに「NHKは変わった」と感じていただけるよう、放送総局改革・視聴者総局改革・地域改革など初年度に大きく動きだした、さまざまな改革の成果を今年4月以降、目に見える形でお示ししたいと考えています。

 減収局面にあってもNHKならではのコンテンツ制作に経営資源を集中させ、「新しいNHKらしさ」を体現するコンテンツやサービスを提供してまいります。そのために、あらゆる既存業務の見直しを進めるなど構造改革を断行して「スリムで強靭(きょうじん)なNHK」へと生まれ変わります。最終的には、その改革の成果を受信料の値下げという形で視聴者の皆さまに還元したいと思います。

 インターネットによる動画視聴の普及や、若者を中心とした視聴者のテレビ離れが急速に進む一方で、インターネット上には大量の不確かな情報があふれ、フェイクニュースやフィルターバブルなどの問題が顕在化しています。

 そうした中にあってもNHKは、正確で信頼できる情報を視聴者・国民の皆さまに広く、しっかり届け続ける責務があると考えています。インターネットを通じて番組や情報を届ける意義や役割、多様化する視聴者ニーズなどを検証するため、インターネット活用業務についての社会実証を今年4月以降、実施する予定です。結果はしっかり検証し、得られた知見を関係者とも共有したいと思います。

 2025年には、日本の放送開始100年を迎えます。民放との二元体制を引き続き維持・発展させながら、放送・メディアがこれまで培ってきた社会的役割やコンテンツの価値をさらに発揮し、新たな「放送の将来像」を描いていくことによって、視聴者・国民の皆さまの期待と信頼に応えてまいります。