2022.01.13 AIなど先進技術で人事業務を変革活気づくHRテック市場
スマートフォンに向かいAI面接を受ける応募者(提供=タレントアンドアセスメント)
人事(ヒューマンリソース=HR)とテクノロジーを掛け合わせた「HR Tech(テック)」の市場が急成長している。新型コロナウイルス禍で日本型の雇用形態や働き方を見直す動きが加速する中、人工知能(AI)などのデジタル技術を採用活動の効率化や組織の活性化などにつなげる取り組みが熱を帯びつつある。
「仕事に対する誇りと情熱を持ち、期待以上の成果を出すまであきらめずに頑張る」――。そんな熱意を示すエンゲージメントを重視するのがNECだ。
同社は中期経営計画で、2020年度に25%だったエンゲージメントスコアを25年度に50%に引き上げる目標を掲げた。熱意を持ってやり切る人材が全社員の5割を占める状態にしたい考えだ。
既に、HRテックの可能性を追求。例えば、AIを活用して物事の原因と結果の関係を浮かび上がらせる「因果分析ソリューション」を応用し、エンゲージメントの高いチームの構造を探った。その結果、マネージャーが部下を信頼して共感を得るコミュニケーションが重要と分かった。
一方、時間や場所の制約を受けずにスマートフォンでAIと対話しながら面接を受けられるようにするサービス「SHaiN(シャイン)」で存在感を高めているのが、採用支援のタレントアンドアセスメント(東京都港区)だ。17年に提供を始めたシャインの導入企業数は年々増え、昨年12月末時点で約340社に達した。
今月に入ると、熟練面談者のノウハウを学習したAIモデルで質の高い面談を支援するクラウドサービスが、日立ソリューションズから登場した。
HRテックを後押しするサービスの選択肢が広がる背景には、働き方や採用形態の多様化がある。これに伴い、人事担当者に求められる能力は高度化。多様な人事業務を効率化するニーズが高まっている。野村総合研究所は関連の国内市場が右肩上がりの成長を続け、27年に約6600億円に達すると予測する。