2022.01.14 MLCC製造工程で使用するPETフィルムのリサイクルTDK、業界で初めて成功

リサイクルPETフィルム

 TDKは14日、積層セラミックコンデンサー(MLCC)の製造工程で使用されるPET(ポリエチレンテレフタレート)フィルムを再利用するリサイクルシステムの構築に電子部品業界で初めて成功したと発表した。

 同社は今月から同リサイクルシステムの導入を順次開始。さらに今後はMLCC以外の部品にもリサイクルPETフィルムの使用を拡大していくことで、26年にはリサイクルPETフィルムの使用率を20%まで高め、廃棄物の削減やCO₂削減への貢献を目指す。

 MLCCは、電荷を蓄えたり、放出したりする役割を持つ電子部品。スマートフォンやノートパソコンなどのICT機器、自動車、産業機器・インフラ関連などあらゆる産業分野で使用され、毎年グローバルでの市場規模が拡大している。

 MLCC製造では、プレス工程やシート成形工程でPETフィルムが使用される。このPETフィルムの表面には特殊処理が施されており、現在、製造工程での使用後は主にサーマルリサイクルや焼却処分されている。

 同社が今回実用化したシステムは、廃棄するPETフィルムの表面を洗浄し、その後PET樹脂(ペレット状)に戻し、同リサイクルシステムでの協業先である東レで製膜化を行う。そのフィルムをTDKが調達し特殊処理を施すことで、MLCCの製造工程での再利用が可能となった。同システムで使用するリサイクルPETフィルムは、従来のPETフィルム(バージンフィルム)に対し、CO₂が約10%削減されている。MLCC製造工程で使用済みのフィルムの洗浄、チップ化は、協業先のリサイクルメーカー(社名は非開示)が実施する。

 同社では今年1月から、同リサイクルシステムの導入を開始した。さらに今後はMLCC以外の受動部品(インダクター、高周波部品など)にもリサイクルPETフィルムの活用を広げていく方針。これにより、廃棄物の削減やCO₂削減を推進し、サステナブルな生産体制の構築を目指す。
(1月17日付電波新聞・電波新聞デジタルで詳報します。)