2022.01.15 金融取引に次世代暗号技術を応用野村HDや東芝などが検証実験に成功

量子暗号通信の送受信機(提供=東芝)

 野村ホールディングス(HD)や東芝などは、「理論上絶対に破られない」とされる次世代の暗号技術「量子暗号通信」を活用し、金融取引の大容量データを高速伝送する国内初の検証実験に成功した。金融業界を狙ったサイバー攻撃の脅威が増す中、セキュリティー対策の強化が求められていた。

 共同検証は、内閣府のプロジェクトの一環。両社のほか、野村HD傘下の野村証券、国立研究開発法人情報通信研究機構(NICT)、NECも参加。高速大容量で低遅延なデータ伝送が求められる株式取引の業務に量子暗号技術に適用する可能性を探るため、検証実験を進めていた。

 その結果、量子暗号通信を適用しても従来のシステムと比べて遜色のない通信速度が維持できることを確かめた。

 量子暗号通信では、量子力学的な特性を生かす「暗号鍵」を光子(光の粒子)にのせて光ファイバー上で伝送する。大量の株式取引が発生しても、暗号鍵を枯渇させることなく秘匿性が高い状態で素早く送れることも確かめた。
(1月18日付電波新聞・電波新聞デジタルで詳報します。)