2022.01.18 固形状のもので世界初、密閉された空間を目標湿度に調節シャープが調湿材を開発
密閉された空間を目標湿度に調節・維持できる調湿材「TEKIjuN(適潤)」
シャープは、固形状のものでは世界で初めて、密閉された空間を目標湿度に調節・維持できる調湿材「TEKIjuN(適潤)」を開発した。今春から発売する。
2015年から開発に着手し、人体にも備わる天然保湿成分にヒントを得て開発した液体調湿材を、樹脂に配合し固形化した。
液体調湿材と異なり、液漏れリスクもなく、長期にわたり性能を維持する。条件によるが、密閉度の高い空間の場合、半年に1度が交換目安となる。
価格は従来の乾燥剤と同等レベルに設定する。用途によりビーズ型とシート型の2種類をそろえる。ビーズ型は特に吸放湿できる水分量が多く、シリカゲルの3倍ある。
「ビーズ型」は、固形状として世界で初めて、対象物に最適な目標湿度を設定した状態で提供できるため、工業製品や工芸品、嗜好(しこう)品、食品などの保管用途に適している。成分調整を図り目標到達湿度40~90%の範囲内で任意に設定できる(使用温度環境は0~70度)。
「シート型」は吸放湿のスピードが速く、急激な温度変動に対応できることから、電設、建材、輸送分野などにおける結露抑制シートとしての活用を想定する。
昨今廃棄物ロスの削減が社会的な課題となっており、新技術は、これまで多湿や乾燥によって劣化して廃棄されていた資材や食料品の削減に貢献できる。
乾燥剤の市場規模は数百億円と言われているが、新技術の事業規模として「数年先には10億円の売り上げを目指す」(種谷元隆常務執行役員研究開発事業本部長)と話す。
「研究開発本部では六つの領域で技術開発しているが、次世代材料・デバイス技術の開発に取り組んでいる。"適潤"は、新しい材料技術として、新領域を開拓していきたい」(種谷常務)と話す。