2021.09.03 中村獅童と初音ミク競演NTTのICT技術で分身の術、京都・南座で「超歌舞伎」公演

中村獅童(左)と初音ミク

分身の術の演出も分身の術の演出も

 NTTと松竹は歌舞伎と最新のICT技術のコラボレーションによる新たな歌舞伎の商用公演にチャレンジしている。3日から京都市東山区の南座で始まった「九月南座超歌舞伎」はその第2弾。舞台では撮影映像からリアルタイムに出演者だけを切り出し、プロジェクターに映し出す「被写体抽出技術」など最新技術を採用。出演者で歌舞伎役者の中村獅童、バーチャルシンガーの初音ミクなどが公開通し稽古に登場し、新しい歌舞伎の魅力を伝えた。

 超歌舞伎は、2016年から松竹とドワンゴが共同製作し、ニコニコ超会議内で公演を重ねてきたもの。19年8月には、ICT技術を組み合わせた歌舞伎の商用公演の第1弾として公演。歌舞伎ファンだけでなく、若い世代やインバウンドなど幅広い層が来場。今回は2年ぶりの公演となる。

 舞台の見どころは中村獅童とプロジェクターに高精細に映し出された初音ミクによる獅子の精による豪快な毛振り。2人の長い毛が同時に振り回される舞台は圧巻。

 また、出演者のリアルタイムな動きをプロジェクターに映し出す「分身の術」も見どころ。撮影映像からリアルタイムに出演者を切り出し、人物だけをプロジェクターに映し出す演出は迫力満点だ。

 舞台の終盤では観客の力(光るペンライトを振る)で、プロジェクターに映し出された出演者が炎をまとう演出も取り入れた。会場が一体になって舞台を盛り上げる。中村は「出演者とお客さまが盛り上がれるのが醍醐味(だいごみ)」と語った。

 これらの技術はNTTの超高臨場感通信技術「Kirari!」の「被写体抽出技術」や「スタイル変換技術」などを活用している。

 スケジュールは3日から26日まで。昼夜2部で、演目は「超歌舞伎の魅力」を映像で紹介、南座で初披露となる長唄による歌舞伎舞踊の「都染戯場彩(みやこぞめかぶきのいろどり)」、京都を舞台にした源頼光と傾城七綾太夫との恋物語と土蜘蛛伝説を軸にした「御伽草紙戀姿絵(おとぎぞうしこいのすがたえ)」。