2022.01.20 “持たない豊かな住まい方”を実現パナソニックが賃貸住宅向け家電サブスクサービス

パナソニック くらし事業本部 くらしアプライアンス社の松下理一社長

 “持たない豊かな住まい方”を実現する新サービスをパナソニックが開始した。多様化する生活スタイルや価値観の中で、新しい価値を創出することで、家電事業の新たな領域を開拓していく。

 新サービスは、賃貸住宅向けサブスクリプションサービス「noiful(ノイフル)」と名付けた。“not owning is fulfilling”(=持たざることは満たされること)を意味する。

 同サービスでは、同社の先進家電と家電の使い方サポート、もしもの時の修理交換、入退去時の家電クリーニングなどをパッケージで提供する。サービスは「noiful ROOM」「noiful LIFE」の二つがある。

 noiful ROOMは、あらかじめパナソニックの先進家電が備え付けられ、入居者は入ったその日から先進家電が使える。引っ越しの際に家電購入費用を抑えられ、家電の使い方などアフターサポート・修理・交換費用も掛からない。

 賃貸住宅オーナー・管理会社にとっては、家電付き賃貸として家賃単価アップ・入居率アップなど物件価値向上につなげられる。

 オーナー、管理会社に対しては、物件の特性(立地・間取り・家賃・入居者像など)に合わせ、最適な家電をパッケージし、種類や点数、月額、契約期間など同社がプランニング、さまざまな特性に合わせた家電パッケージを提供できる。

動線の邪魔にならないよう家電をビルトインのように配置

 noiful LIFEは、生活動線や先進家電の納まり方まで考慮して物件をリノベーションし、入居者に魅力的な暮らしの価値を提供する。

 入居者にとっては上質な住まいが提供され、家電購入費用も掛からず、入居日から先進家電が使える。また、入居者にはうれしい敷金・礼金ゼロのシステムとなっている。

 賃貸住宅オーナーにとっては、こだわり抜いたリノベーションで物件価値が上がり、仲介業務や物件管理はパナソニックがマネジメントするため、物件の安定運用につながる。

 noiful LIFEについては第1号物件として、「noiful base 駒込」(東京都北区中里2-21-15/鉄筋コンクリート地上3階)が落成し、19日から入居者募集を開始した。

募集を開始した「noiful LIFE」を提供する「noiful base 駒込」外観
「noiful base 駒込」室内

 この物件は築24年のストック物件のリノベーションで、noiful LIFEリノベーションを図ることで、周辺の築古物件相場より約30%高い坪当たり約1万6000円と、新築相当の坪単価まで家賃単価を上げられるという。

 また、noifulのウェブサイトを通して、内見から契約・入居までオンライン対応を実現し、諸手続きのDX(デジタルトランスフォーメーション)化にも取り組んでいる。

内見から契約、入居までオンラインで行い、面倒な諸手続きのDX化にも取り組んでいる

 新サービスを開発したパナソニック くらし事業本部 くらしアプライアンス社の松下理一社長は「サブスクの市場規模が拡大しており、所有するのではなく、必要な時に必要なモノを借りればよいという価値観が浸透するほか、コロナ禍でイエナカの充実を望むニーズも高まっている。一方で空き家の増加、家電の廃棄など社会課題もあり、こうしたことを一つの事業機会と捉え、新たな価値の提供に取り組んでいきたい」と話す。

 同サービスで使った使用済み家電については、リユースにも取り組み、新たな家電の循環スキームの構築を図る方針だ。

 noifulの事業目標としては2024年度1万2000戸、30年には20万戸を目指す。「今後3~4年で50億円の利益創出を目指す」(松下社長)考えだ。