2022.01.27 【ルームエアコン特集】空気質への関心高まる最新モデルへの買い替え提案が重要
清潔・快適志向の高まりで、堅調なエアコン需要が見込める
ルームエアコンは、室内の空気質(IAQ)への関心が高まる中、空気清浄機能や内部クリーン機構、イオン発生や換気・調湿機能など、清潔・快適に貢献する機能が進化、市場ニーズに応える商品戦略が活発だ。コロナ禍で買い替えが進み、昨年度過去最高の出荷を記録したが、今期以降も依然として手堅い需要が見込まれ、最新モデルへの買い替え提案が重要となる。
ルームエアコンは、夏場に止まらず冬場も暖房性能の向上を背景に商戦が動く。暖房機としてはメーンの商品として浸透し、寒冷地域でも普及率が高まっている。
2021年度は、出荷台数が1000万台を超え過去最高だった20年度と比較すると、その反動もあって厳しい展開となっている。夏場の冷夏・長雨の影響も加わって、前年割れの状況が続いている。
また、素材高騰や半導体不足、物流の混乱など経済全体に関わる大きな問題の影響もあって、エアコン出荷に一部影響した面もあるようだ。
メーカーの中には、商品供給に問題が出たり、その一方でいち早く部品調達をクリアして商品供給に万全を期すことで、シェアを伸ばしたメーカーもあった。
新型コロナに伴う影響は大なり小なりエアコン商戦に影を落としたが、総じて市場には買い替え・買い増し需要は根強く存在し、依然として21年度も900万台以上の大きな需要が見込めるという。
22年度については不透明な状況だが、新しい生活スタイルの浸透に伴い、在宅時間が増加する中、室内の温湿度、清潔さに対するニーズは高止まりするとみられ、手堅い需要が見込めそうだ。
ルームエアコンは、17年度以降、毎年900万台を上回る高水準な出荷が続いており、ルームエアコンの暖房性能の向上を背景に、寒冷地域への普及が急速に進むことで、買い替え・買い増し中心の全体需要を底支えするとみられる。
さまざまな困難は依然として持続するものの、市場ニーズを見極め、ユーザーの困り事に刺さる商品戦略を進めることで、成長維持を図っていく以外になさそうだ。
ルームエアコンは、在宅時間が増加することで、室内空気質に敏感なユーザーが増えたことから、気流制御技術やエアコン内部清潔機能の進化、空気清浄機能やイオン発生機能の進化など各社各様の切り口で、ユーザーの快適・清潔ニーズに応えた商品開発に力を入れる。
パナソニックでは、新「ナノイーX」搭載エオリアLXシリーズで、同社初の換気機能や新湿度コントロール技術を搭載して、冷暖房に加え、きれいな外気を取り込み、湿度も最適調整することで快適・清潔空調を実現する。
富士通ゼネラルでは、ノクリアXシリーズでハイブリッド気流での快適空間の実現、電気集じん方式のプラズマ空清や独自の熱交換器加熱除菌、ウイルス抑制作用のあるコーティングを施したフィルター搭載など、快適・清潔性能を進化させている。
室内の空気質に対する意識が高まる中、こうした清潔・快適性能の進化は、ユーザーにとっても大きな訴求ポイントとなりうる。
エアコン暖房シーズンにおいては、室内を締め切ることが多く、換気と湿度調節を併用することでより快適な室内空間につながる。換気機能そのものを搭載する動きも強まるが、換気扇との連動や加湿空気清浄機などとの連動で、上手な温湿度調整も可能だ。
このほか、最新エアコンでは人工知能(AI)やIoT技術、センシング技術を組み合わせた最適な空調、省エネ制御の実現など、昨今のユーザーニーズをくみ取った機能開発に力が入っている。