2019.12.12 FIT制度改革案の方向性固まる 長期未稼働の場合、認定失効 経産省審議会

FIT制度改革案の方向性を固めた経産省審議会

 経済産業省は12日、再生可能エネルギーの固定価格買い取り制度(FIT)について、認定事業者でも長期間、未稼働の場合には、失効させられることなどを盛り込んだ改革案を取りまとめ、制度見直しを議論してきた審議会に提示した。委員らからは、方向性の大枠について異論は出なかった。同省は最終調整を進めた上で、中間取りまとめ案として近くパブリックコメントなどの手続きに入る。

 今回の審議会でまとめた改革案は、同省が視野に入れている、FIT制度を定めた再エネ特措法の改正などの指針となる。

 18年7月に閣議決定された第5次エネルギー基本計画では、再エネの「主力電源化」が盛り込まれた。再エネ特措法には、20年度末までに抜本的な見直しを行うことが規定されており、審議会では、FIT制度の見直しや再エネの「主力電源化」に向けた制度改革について、19年9月から5回にわたって議論を重ねてきた。

 今回の議論では、再エネの拡大で太陽光を中心として発電コストが国際的にも高額なため、国民負担が増大していることや、送電設備の系統が限られていることなどが課題として浮上している。

 改革案では、特に事業用太陽光発電は急速にFIT認定が進んだ一方で、認定を受けているものの運転を始めず未稼働になっている例が多くあることを問題視。認定を受ければ、発電した場合に備え送電線を使用する権利も持ち続け、系統容量を「空押さえ」することになり、新たな参入者の系統利用の妨げになるという。

 そのため、今後新規に認定を受ける場合には、認定取得後に、長期にわたって未稼働の場合、「認定を失効させるなどする法的措置を講じるべき」だとした。既に認定を受けている場合でも、「未稼働の状態が一定期間継続する場合には、新規認定と同様の対応を取るべき」としている。