ソニーは、拡張現実（AR）モバイルゲームを開発・提供する、米Niantic（ナイアンティック）とヘッドホン向けの音声ARの領域で協業契約を締結した。

　同社は実世界の音を取り込みながら、ヘッドホンからの音も楽しめる製品や技術を開発。ナイアンティックは、モバイルデバイス用のARアプリケーションを活用した「Ingress」などのゲームタイトルを保有し、世界各国で広くサービスを展開している。

　今回の契約締結により、両社が持つ技術を掛け合わせ、ヘッドホン向けに視覚だけでなく聴覚でもARを楽しめるゲーム体験の実現を目指す。

　今後、音声AR領域でのアプリソフトウエア開発での協業と音声AR関連のプロモーション活動を相互に展開していく予定だ。　

　第1弾の取り組みとして、オンラインとリアルをつなぐ新たな音体験を提案する完全ワイヤレス型ヘッドホン「LinkBuds（リンクバッズ）」を使ってナイアンティックのゲーム「Ingress」で音のARを楽しむ開発を進めており、年内の提供開始を目指すという。

　リンクバッズは常時装着という新しいコンセプトの完全ワイヤレスイヤホン。耳をふさがない新開発のリング型ドライバーユニット搭載と最小・最軽量で自然な装着感を実現。さらに、AI技術を利用したマイクの内蔵で、5億サンプルを超えるAIの機械学習で構成した装着者の声とそれ以外の環境ノイズを分離するアルゴリズムにより、環境ノイズを抑えて装着者の声をクリアに抽出し、騒がしい場所でも快適に会話を楽しめる。25日発売予定。

　同社のホームエンタテインメント＆サウンドプロダクツ事業本部モバイルプロダクト事業部の中村裕事業部長は「当社が培ってきた立体音響技術とナイアンティックのゲームコンテンツの連携で、ヘッドホンを通じて現実とゲームが融合する驚きの体験をお届けすることを目指す」とコメントした。

　今回の締結で、ヘッドホンと組み合わせた、より没入感の高いゲーム体験の実現に向けて、ARゲーミング分野における開発の取り組みを両社でさらに加速させていく方針だ。