2022.03.08 【中部産業特集】日本ガイシメンテフリーのIoTデバイス開発、エナセラ活用し協業

物流管理のIoTデバイスに搭載されるエナセラ

 日本ガイシは、チップ型セラミックス二次電池「EnerCera(エナセラ)」と空間伝送型ワイヤレス電力伝送(WPT)技術を組み合わせ、メンテナンスフリーなIoTデバイスの実現に向けてアプリケーションの開発を進めている。

 エナセラは超小型・薄型の二次電池。独自の結晶配向セラミックス電極板を使用した半固体電池で、小型・薄型、高耐熱、高容量、長寿命といったIoTデバイス用電源に求められる特性を持つ。

 Sоciety5.0の実現に向けIoTデバイスの社会実装が拡大する中、メンテナンスフリーなデバイスに求められる「ワイヤレス」「電源の自立(電池交換不要)」といった観点から、二次電池を使ったWPTシステムへの期待が高まっている。WPT技術の実用化を後押しする電波法の改正が今年度内に見込まれていることもあり、パートナーとの協業を通じて用途拡大を推進する。

 物流用途では、貨物管理のIoTデバイスにエナセラを搭載することで、小型かつ電池交換が不要で物流のデジタルトランスフォーメーション(DX、デジタル変革)化に貢献するメンテナンスフリーな電源システムの提供が可能となる。パナソニックが開発中のセンサータグにはエナセラが使用されており、WPT給電により継続的に貨物を監視・記録できる物流システムへの適用が可能だ。

 トレックス、Ossiaとは、工場や倉庫に設置するセンサーなど幅広い用途に利用できるIoTデバイスの開発に向け協業を開始。丸文・日本航空電子工業とも同様の取り組みを進めており、管理の時間や手間を軽減し物流業務の効率化に寄与する。

 SMKとの協業では、スマートホーム用のセンサー・リモコンの電源としてエナセラを活用。WPT給電により天井や家具などさまざまな場所へセンサーを設置することができ、メンテナンスフリーな家電のIoT化を支える。WPT技術との組み合わせのほかにも、エナセラの作動温度域の広さを生かし、イノラックス、ENJI、コールドストレージジャパンと温湿度をリアルタイムで計測するセンサータグの開発に着手している。

 エナセラは、世界の累計約480社でサンプル評価されており、今後さまざまな分野への活用が期待される。