2022.03.15 FIPで固定価格買い取り事業者のリスク軽減、再エネ投資の維持に寄与

発表会見で新サービスをピーアールする中村社長(左)

新電力ループが新サービス

 再生可能エネルギー系新電力大手のLooop(ループ、東京都台東区)は8日、再エネ固定価格買い取り制度(FIT)に代わって4月から導入される市場連動型のFIP制度でも、同社が固定価格で電力を買い取るサービスを始めると発表し、受付を始めた。予見可能な一定の収入を確保できるサービスなどを提供して事業者のリスク軽減を手助けし、さらなる再エネ投資の促進を後押ししていく考えだ。

 サービスは「Looop FITプレミアム」。新しく発電所を建設する事業者や、既にFITで売電しているがFIPへ移行する事業者などを主な顧客に想定している。

 FIP下で、固定価格によって相対契約する仕組みのサービスは業界で初めてとみられ、今後、同種のサービスが広がることも想定される。しかし、会見した中村創一郎社長は、同社の優位性として、需給管理ができる点、発電所の運営を手掛けてきた実績がある点を挙げた。

 新たに導入されるFIPは、市場価格に連動した基準価格に一定のプレミアム(補助額)が上乗せされる。事業者の創意工夫を促し、再エネを自立した電源にしていくことを目指した制度だが、価格が一定で、いつ発電しても一定の収入を得られたFITとは大きく事業環境が異なる。

 FIPでは電力の需給に応じて変動する市場価格に合わせて利益を出せるメリットがある。ただ時間帯や気候による需給変動の影響を大きく受けるため、投資の収支予見性が損なわれ、発電所建設に及び腰になる事業者や投融資に踏み切れない金融機関が出てくるとの懸念が指摘されている。

 現状について、中村社長は「再エネ業界は、これからは事業者の工夫次第で、より差別化を図ることができる。そういう新たなステージへ向かう局面に来ている」と指摘。だが、脱炭素社会に向けて再エネ導入にブレーキはかけられない。そうした認識の下、新サービスでは、ループが発電事業者の「補助輪を外した自転車の伴走」(同社)役を担いサポートしていく。

 従来のFITが、固定価格で買い取ることで再エネ発電事業の予見性を高め、投資を促進させる効果を果たしてきた点を重視。相対の売電価格は、発電量や保守点検の有無などを加味した上で決定されるが、FIP基準価格や従来のFIT認定価格よりも高い固定価格で買い取る方針だ。そのため、FIT下と同様の予見性の高い事業計画が可能になるという。

 また、FIPでは発電所を運営する事業者が、事前に発電計画を電力広域的運営推進機関(OCCTO)に提出。実際の発電量と差異が出れば、インバランスとしてペナルティーを与えられるなどのリスクが生じる。新サービスでは発電計画をループが代行するので新たな業務負担などもなく、インバランスリスクもループ側が負担することになるという。