2022.03.14 「スマート信号」で渋滞緩和へ 静岡で実証実験、全国展開なら「5兆円の得」

設置の例

 交差点の信号の多くは、交通管制センターと通信回線でつながり、集中制御されている。ただ、車両感知器や回線、中央制御装置などの維持管理コストが課題となっている。また、こうしたネットワークがされていない地域もある。

 そこで、NEDO(新エネルギー・産業技術総合開発機構)と、自動運転などに取り組むUTMS協会は、AI技術を使った「スマート信号」の実証実験を、静岡県内で進める。

 AIユニット搭載の交通信号制御機を、12カ所の交差点に設置。高度な集中制御ではなく、「軽やかな交通管制」のシステムを目指す。これにより、その時々の交通量に応じて柔軟に信号を制御するなどし、渋滞軽減といった効果を見込む。

 試算では、15~20%程度の平均旅行時間短縮が見込めるという。仮に、これを全国約20万カ所の信号に当てはめれば、時間便益は約5.5兆円。つまり、道路利用者らはそれだけの恩恵を受けると計算できるという。

 同協会には、総合電機や電子部品などの大手らが参画。自動運転も見据え、信号など道路周辺のスマート化が一層進みそうだ。
(15日付の電波新聞・電波新聞デジタルで詳報します)