2022.03.16 【スマートエネルギー総合特集】「スマートエネルギーWeek2022春」きょう開幕東京ビッグサイトで3日間、1100社出展

昨年は、オンラインと並行して開催された

珍しい出展品に多くの来場者が集まる昨年の会場の様子珍しい出展品に多くの来場者が集まる昨年の会場の様子

昨年は、講演会場などにも多く来場者が集まった昨年は、講演会場などにも多く来場者が集まった

 新しいエネルギー技術などを網羅的に紹介する国際総合展「スマートエネルギーWeek2022春」が16日から3日間、東京都江東区の東京ビッグサイトで開催される。今回で18回目。世界的なカーボンニュートラルの流れが強まりをみせ、再生可能エネルギーなどの社会的な重要性が増している。企業なども一斉に導入拡大に向かい始めた。展示会では、再エネの最新製品や技術を持つ企業などが一堂に集まり、展示、紹介する。

 展示会は、「第18回FC EXPO 水素・燃料電池展」「第15回PV EXPO 太陽光発電展」「第13回二次電池展」「第12回スマートグリッド EXPO」「第10回WIND EXPO 風力発電展」「第7回バイオマス展」「第6回ゼロエミッション火力発電 EXPO」の計七つの展示会とともに、「第4回資源循環 EXPO」「第1回脱炭素経営 EXPO」を同時開催する。

 国内企業をはじめ、米国、中国、台湾、韓国のほか、欧州ではドイツやオランダなどからも参加があり、出展企業は約1100社に上る見込みだ。世界的な潮流を捉えた充実したコンテンツが勢ぞろいする。

 昨年はコロナ禍の最中での開催でオンラインでも実施。会場には1日9000人超の来場者があり、3日間合計で約2万8000人を超えた。セミナー受講者も3日合計で1万人超だった。280近い報道関係者も集まり、注目度の高さは維持されている。

 今回はオンラインでの開催はせず、来場者は計4万8000人を予定している。主催する「RX Japan」(東京都新宿区)は「ほとんどのイベントがオンラインに切り替わる中で、フェース・ツー・フェースの場が業界的にも重要視されている」と期待を込める。

 展示会で注目されるのは、東京での初開催となる「脱炭素経営EXPO」だ。

 脱炭素の潮流はエネルギー業界のみでなく、一般企業にも及んでいる。再エネ電力やエネルギーマネジメントシステムなど、脱炭素ソリューションを実現する企業向けの技術がそろい、脱炭素経営を目指す企業経営者や幹部らが多く来場することが見込まれる。

 2021年11月中旬に大阪市の展示会で初めて開かれたが、好評だったことを受けて、最大規模を誇る東京での展示会でも開催することになった。「コロナ禍での初回としてはかなり多い」(主催企業)とされる120社が出展する予定だ。

 各展示会では、全国の自治体の脱炭素化が急務とされていることを受けて、自治体の取り組みを支援する製品やサービスも多く出展される。

 電源装置の開発などを手掛ける企業は、36時間先までの発電量を予測する技術などを展示。気象予測データから発電量を予測し、電力消費実績データから電力消費量予測を行って、電力消費に対する発電量の余剰や不足分を割り出し、蓄電池の適切な充電率をマネジメントしていく技術などを展示する。

 企業が使う電力も一層、再エネシフトが求められる時代になる。

 企業向けの再エネ導入支援としては、企業活動で排出した二酸化炭素(CO₂)を定量的に把握して算出し、可視化するサービスなどを紹介するスタートアップ企業もある。今まで把握が難しかったサプライチェーン全体のCO₂排出データを企業規模にかかわらず、見える化できる。商品ラインアップや地域ごとにデータを把握できるため、削減管理に役立てられる。

 大手電力会社は、ゼロカーボンコンサルティングサービスとしてCO₂排出量の削減目標の設定から、ESG投資などを意識する顧客らへの情報開示までを総合的にサポートしながら、具体策を実行していくためのソリューションを提供するサービスなどを紹介する。

 洋上風力発電開発の機運が高まっている風力発電関連では、海上での調査や施工などに必要な専用船などの業務に絡んで大手の海運企業などの出展が相次ぐ。ほかにも必要な部材や施工、輸送技術など最新の技術が多数紹介される予定だ。

 期間中には会場で専門家らによる全200の講演が予定されているのも見どころだ。17日には、国際エネルギー機関(IEA)のブレント・ワナー氏が「50年ネットゼロ実現のために必要なこと」と題して特別講演する。主催企業は「この展示会は世界でも注目されており、著名な講師も世界から集まる。それによって出展企業も海外から増えてくる傾向にある」と話す。

 16日には、資源エネルギー庁新エネルギー課の担当者が「太陽光発電の導入拡大に向けて」と題し、長期安定的な主力電源を目指す太陽光発電が抱える地域共生などの課題を踏まえながら、政策の現状と展望などを発表する。

 また、環境省地球温暖化対策課の担当者は、開発までのリードタイムが短い太陽光発電の重要性が増している現状を踏まえ、脱炭素に向けた同省の取り組みなどを紹介する。

 18日には、石油元売り最大手のENEOS執行役員リソーシズ&パワーカンパニー再生可能エネルギー事業部長の業天浩二氏が、同社が総合エネルギー企業として描いている再エネの事業戦略を説明する。業天氏は、太陽光発電協会の理事・政策委員長も務めている。