2022.03.31 「ORiN」対象領域広げる機械・設備データ通信ミドルウエア

 ロボットからFA機器全般を対象にした標準ミドルウエア「ORiN」(オライン)。工場内の様々な機械・設備のデータ通信規格の垣根を越え、各プログラム言語を単一の言語に変換してシステムを統合できる。

 オラインは1999年、日本ロボット工業会の標準化を目指す活動として開始。誕生から20年を経てその対象領域をFA(ファクトリーオートメーション)から農業や医療にまで広げる動きが始まっている。

 ロボットやPLCなどの制御機器、加工機、センサーはメーカーごとの管理ソフトで開発・制御され、工場内の機器を統合するには各プログラムを書き換える必要があった。

 オラインは翻訳機のように、異なる言語を変換してシステム統合できるため、全てのアプリケーションとデバイスをつないで効率的にIoT化を実現できるのが特長だ。

 ISOに沿った仕様でグローバル化も進める。製造業を中心に2022年3月時点で約65000ライセンスが利用されている。

 NTTドコモは、オラインと第5世代移動通信規格5Gとの組み合わせでロボットを遠隔制御する実証実験を実施。メーカー横断的に機器をつなげるオラインの可能性に各社が注目する。

 近年のIoT化の流れを受けて、20年にオライン3仕様が完成。OS(基本ソフト)に依存しないマルチプラットフォームで多様な動作環境に適用する。ウィンドウズだけでなくLinuxなどにも対応可能だ。

 オライン3はFA以外の領域へ展開する動きを見せている。

 医療では、様々な医療機器を統合してデータを一元化するなどの取り組みにオラインを応用。農業の現場では、温度や湿度のセンサーにオラインを搭載して多数配置し、低廉なシステム構築の実現が期待されている。

 オライン3のターゲットは第1次産業、第3次産業へ―。

 少子高齢化や技術継承の困難といった課題解決のため、オラインへの要求が高まっていくと見られている。