2022.04.26 【テレワーク特集】 働き方改革先進企業に聞く日本ゼオンのオフィスリニューアルプロジェクト 松浦一慶取締役執行役員基盤事業本部長

松浦 取締役執行役員基盤事業本部長

人をつなぐ中心拠点に

人的投資に舵、約1年で具現化

 新型コロナウイルスの感染拡大を契機に、テレワークをはじめとした働き方改革を一気に進めるとともに、新たな価値創造を目指した新オフィスを構築した企業がある。老舗化学メーカーの日本ゼオンは、4月に本社オフィスをリニューアルし人をつなぐ中心拠点として運用を始めた。この2年で本社所属のオフィスワーカーの働き方を見直し、オフィスリニューアルプロジェクトはわずか1年足らずで成し遂げた。今回プロジェクトの指揮をとった取締役執行役員の松浦一慶基盤事業本部長に話を聞いた。

 -働き方改革への取り組みが進んでいる印象を受けます。

 松浦取締役 もとは古い体質の会社で、テレワークなどせず出社して執務するのが当たり前だった。改革のきっかけになったのは新型コロナの感染が拡大し始めた2020年の年初からになる。まずは本社社員全員分のパソコンとスマートフォンをそろえるとともに、オンライン会議の「Zoom」のIDも全員分購入した。その後、20年2月26日に派遣社員も含めて在宅勤務に移行し、出社率を10%に抑えた。フレックスタイム制も午前5時から午後10時の間で運用できるようにするなど柔軟な働き方をできるようにした。

 -オフィスリニューアルも当初から検討していたのですか。

 松浦取締役 現在、30年に目指す姿を「社会の期待と社員の意欲に応える会社」として掲げ、中期経営計画を全社プロジェクトとして取り組んできている。その中のテーマに働き方改革があり、組織を超えたコラボレーションや、社員同士のつながり、専門性の高い仕事ができる環境づくりなどを軸に議論を進め、オフィスリニューアルのプロジェクトをスタート。営業や財務、システムなど幅広い部門から10人が集まり、プロジェクト「Z-HUB」として検討し、「人と人とをつなぐ中心拠点」を目指して約1年という短い期間で具現化した。

 -今回のリニューアルは内田洋行とともに進めましたが決定したきっかけは。

内田洋行と推進

 松浦取締役 さまざまな企業とリニューアルについて検討をしてきた結果、内田洋行の「つながり」を大切にした提案が心に刺さった。本社2フロアの中央を内階段でつなぐという斬新なアイデアで、組織や部署を横断した協働と共創ができる環境になったと思っている。ICTを活用して、 在宅でも出社でも誰がどこで働いているか分かり、密を避けながら柔軟な働き方ができるようになった。

 -働き方改革やリニューアルをこれだけ短期間で実行できた秘訣は。

他社含め共創へ

 松浦取締役 経営層が問題意識を持って覚悟を決めて臨めるかどうかだと思っている。コスト削減だけにとらわれず人的資源を重視した投資をしていくことに気づき、かじを切った。化学業界は人員削減の傾向があるが、当社は20年度から22年度までに275人増やす計画を立てている。この先もコロナ前には戻らない前提で働き方改革を進め、新オフィスで他社も含めて共創できるようにしていきたいと考えている。