2019.12.27 通信機器需要予測2019〈CIAJまとめ〉 前年比1.9%減と下げ止まり状態 20年度以降は緩やかに拡大

 情報通信ネットワーク産業協会(CIAJ)がこのほど発刊した「通信機器中期需要予測[2019年度-2024年度]」によると、19年度の通信機器市場は前年比1.9%減と下げ止まり状態となり、20年度以降、次世代高速通信規格5Gをはじめデジタル技術の進展によって通信機器やネットワーク機器の新たな需要が増えることから緩やかに拡大する見通しだ。

 18年度は、企業収益が好調に推移して内需が拡大していることもあり、国内向け有線端末機器や、データトラフィックの増加に備えた有線ネットワーク機器が増えつつあるが、携帯電話や無線インラフ機器が5Gへの切り替えの端境期となり低調に推移。加えて海外の景気低迷により大半の機器の輸出が減少したことで通信機器需要総額は同5.1%減の3兆4509億円となった。

 19年度は、個人消費が低調で内需の伸びは鈍化するものの、半導体関連や5G関連の輸出が持ち直しに転じ、ICT関連の外需は回復局面に入ると予測。通信機器市場は携帯電話の需要減と無線インフラ機器の投資が低調な半面、5Gの開始に向けて有線ネットワーク関連設備の増加が期待できることなどから下げ止まり状態となり、同1.9%減の3兆3838億円と見込んでいる。

 国内は同1.1%減の3兆561億円、輸出は同8.8%減の3277億円と予測。コンシューマ関連機器は買い替えサイクルの長期化や消費税増税などの影響などもあって減少しているほか、家庭用電話機やFAXも下降傾向で、全体では同7.1%減と見通している。ビジネス関連機器ではインバウンド関連や高齢者施設関連が増えるが、事業所の電話システムなどが減少傾向にあり、全体は同9.0%減の4452億円となる。

 一方でインフラ関連機器は5Gの商用サービスに向けた基地局通信装置が増加するほか、デジタル伝送装置や固定通信装置も増えると見られ、全体では同26.0%増の5837億円と予測。インターネット関連機器もルーターやLANスイッチ、光アクセス機器が5GやIoTを活用したサービスやクラウドサービス向けに堅調で同1.6%増の2885億円を見込む。

 特にデジタル伝送装置が同56.8%増の2022億円、固定通信装置が同20.3%増の1590億円、基地局通信装置が同10.9%増の2212億円と大幅に前年を上回る見通しになっている。

 20年度以降は製造や物流、防災、交通、医療などの分野に対して5G対応やデジタル化が進むと見られ、24年度の通信機器需要総額は3兆7934億円と予測している。

(つづく)