2022.05.11 実装機各社が新規事業を拡大 他産業への展開やM&Aなど多様

FUJIの移乗サポートロボット

 実装機各社が新規事業を拡大している。実装機・関連装置の他産業への展開、コア技術を応用した新規事業分野への進出、M&Aによる事業領域拡大など、各社の業容拡大戦略が多様化している。

 FUJIは実装機を中心としたロボットソリューション事業と、工作機のマシンツール事業を柱に、ロボットソリューション事業では「FUJIスマートファクトリー」を推進するが、2015年ごろから新たな事業にも積極的に取り組んでいる。

 現在は大気圧プラズマユニット「Tough Plasma」、宅配ロッカーシステム「Quist(クイスト)」、小型多関節ロボット「SmartWing」、移乗サポートロボット「Hug T1-02」、地域貢献事業「THANK」の運営、エレクトロニクス3Dプリンターなどを事業化。さらにはM&Aによる半導体製造装置メーカー・ファスフォードテクノロジ(山梨県南アルプス市)との事業展開も進め、各新規事業とも順調に業績を伸ばしている。

 例えば移乗サポートロボットは、超高齢社会で介護負担の増加や介護従事者の不足が深刻化する中、需要が拡大している。

 パナソニックグループの4月1日付の持ち株会社制への移行に伴い、実装機などを担当するパナソニックスマートファクトリーソリューションズ(PSFS)は、新たに発足したパナソニック コネクトに統合され、「プロセスオートメーション事業部」として営業を開始した。

 基幹事業と定める「現場プロセス」事業領域に対し、実装・半導体、FPD、製造、溶接・レーザー加工などのプロセス技術も組み込んだ装置と、IoT・M2Mを中心とするデジタル技術とのシナジーで、製造業をはじめさまざまな業界の顧客に向け新たなソリューションを創造する。

IoT活用の統合溶接管理システムを採用したパナソニックの溶接ロボット

 この中で溶接機事業は新たな取り組みとして、同社の溶接ロボットソリューションである統合溶接管理システム「iWNB」を拡張。統合溶接管理システム「iWNB for Welding Machines」と溶接モニタリング装置を利用し、工程全体のデータ化・見える化を進める。

 ヤマハ発動機は、ロボティクス事業領域を重点事業の一つに掲げ、実装機事業における「ワンストップソリューション」を推進。新規事業として19年7月に新川、アピックヤマダ、PFAを有するYRH(ヤマハロボティクスホールディングス)を設立し、半導体後工程と電子部品実装の融合を事業領域に加えた事業戦略に取り組んでいる。

ロボティクスとモビリティー技術の融合によるスマート農業事業を展開するヤマハ発動機

 FA事業では単軸ロボットやスカラロボット、多関節ロボット、リニアコンベヤーなど、自動化生産ラインに必要となる、さまざまな産業用ロボットを開発、製造。新規事業として22年度中に協働ロボット市場にも参入する。

 ロボティクスとモビリティーの高度な融合による「スマート農業」の実現に向けた製品やシステム、ソリューションの開発も行っている。

 JUKIはマウンター(実装機)を中心とした産業機器&システム事業で、非実装分野での新規領域の拡大を重点戦略に掲げる。22年度にマウンター68%/非マウンター・非実装32%の売上高構成比を、25年度には53%/47%を目指す。

金属部品を対象にしたJUKIの外観検査機「SE1000」

 非実装では、直進型レーザー技術を有するベンチャー企業のXTIA(クティア、東京都品川区)との協業により、自動車などの金属部品の不良有無の検出や寸法などを計測する外観検査機「SE1000」を昨年12月に発売した。金属部品の高速・高精度な検査を可能にし、人手のかかる検査工程での脱技能化、省人化、効率化に貢献する。