2022.05.17 段階的な引き下げなど要望ガソリン価格抑制策の出口戦略 出光興産、木藤社長

質問に応じる木藤社長(左)

 石油元売り大手、出光興産の木藤俊一社長は、政府が9月末まで延長したガソリン価格などの抑制策について、「急に廃止や仕組みを停止させると、まさに激変してしまう」と述べ、期限が切れる10月以降の影響に懸念を示した。政府はロシアによる軍事侵攻で進む物価高騰対策の一環として、5月から石油元売りなどに支給している補助金を、現行の1リットル当たり上限25円から同35円に引き上げている。

 10日に開かれた2021年度決算会見で表明した。

 木藤社長は、原油価格が当初予想よりはるかに高騰したものの、ガソリン価格を中心に動きが小さかったことを指摘。政府の抑制策を「結果的には、国民生活における石油製品の負担が大きくなることを回避させた効果があった」と評価した。

 一方で、「一定の効果をいただいたことに対する評価と同時に、出口における激変を何とか緩和していただきたい」と政府に要望。「段階的に下げていく、あるいは、ロシア情勢がどうなるかによるが、原油価格の下落を見ながら出口の施策を打ち出していくことをお願いしている」と話し、政府の出口戦略に期待をにじませた。

 政府は、主要7カ国(G7)と協調して、ロシアへの制裁の一環でロシア産石油の禁輸を表明した。日本はロシア産を約4%輸入しているが、同社もほぼ同水準並みを取り扱っているという。木藤社長は「代替手段を持って、これから先のロシア産の輸入は見送る方針を明確にしている」と語った。

 さらに、G7がロシア産石炭の禁輸も打ち出している点については「若干の輸入があった。その分は、できるだけ需要家にご理解をいただきながら、代替品の手当てを提案しているところだ」と明らかにした。

 21年度連結決算では、資源高などを背景に、当期純利益が2795億円となり、過去最高益を更新した。