2022.05.17 ちゃんと手を洗ってる? IoTでトイレから街全体を見える化

水を流す回数から「女性に比べ男性の方が手を洗っていない」ことが分かった

 公共トイレで用を足す人は、ちゃんと手も洗っているのか―。

 クレスコ・デジタルテクノロジーズ(東京都港区)が20日に販売開始するのは「ソーシャルスマートトイレシステム」。街のトイレの便器や手洗い器に水流センサーを設置し、通信機能を備えたIoT機器を使って遠隔で利用状況を把握できる。

 男性、女性、多目的の各トイレで便器や手洗い器が使われる回数から利用頻度を推定する。問題となるのは「用を足しても手を洗わない人」「手を洗うためだけにトイレに来る人」などイレギュラーな使い方をする人の存在だ。

 大便器の場合、消音などで水を何度も流す人がいるし、小便器は洗浄のため使用前にも水洗動作がある。要するに便器や手洗い器の水が流れた回数は、実際にトイレを使用した数と必ずしも一致しない恐れがあるということだ。

 これを解決したのが新開発のアルゴリズムだ。用を足した後、大便器なら3分、小便器の場合は1分後に手洗い器が使用されなければ、その人は「手を洗っていない」と判断。一定時間に何度も水洗する場合も「1人の利用者」と捉える。

 人数カウントが重複するのを防ぎ、利用者数を正確に把握できる仕組みだ。実証実験の結果、「9割以上の精度」(同社)が実現したという。

 同システムでは設備の故障や異常発生を検知しつつ、トイレットペーパーの使われ方から補充の必要性も分かる。計測するのは水流だけなので個人が特定される心配はもちろんない。

 男性・女性といった属性や時間帯ごとの利用の違いからトイレの詳細な使用状況が分かれば、街全体の動きを可視化できるようになるかもしれない。

 公共トイレから街全体を見える化―。トイレというインフラを人流把握の起点にしようとする取り組みだ。