2022.05.25 CO₂フリー水素の混焼発電で電車JR東日本とエネオス検討

水素ハイブリッド電車に、CO₂フリー水素を供給するステーションのイメージ

 東日本旅客鉄道(JR東日本)と石油元売り最大手のENEOS(エネオス)は25日、鉄道の脱炭素化に向けて、JR東日本の川崎火力発電所(川崎市川崎区)で水素混焼発電を検討すると明らかにした。エネオスから再生可能エネルギーなどでつくられた二酸化炭素(CO₂)フリー水素の供給を受ける。

 両社は、鉄道でのCO₂フリー水素利用拡大について共同検討を行うため、24日付で連携協定を結んだ。

 エネオスは、首都圏の京浜臨海部に水素供給の拠点を設ける計画。そこから、川崎火力発電所にCO₂フリー水素を供給する。これまでLNG(液化天然ガス)などを燃料にし、発電した電力は自家消費してきた。燃料をCO₂フリー水素に代替できれば、その分、電車が排出するCO₂を削減できる。「具体的なスケジュールなどは未定」(JR東日本)としながらも、2030年代早期に水素混焼発電による電力を鉄道に供給していくことを目指すという。

 また、両社は、国内初となる水素ハイブリッド電車の実用化を30年までに実現するため、連携していく。水素ハイブリッド電車は燃料電池と蓄電池を搭載し、外部からは水素の供給だけで運行できる。

 既にJR東日本は3月から同電車の試験車両「HYBARI(ひばり)」の実証試験を開始した。今回の協定で、エネオスと共同して、同電車にCO₂フリー水素を供給できる定置式の水素ステーションの開発を進めて、実用化を目指す。ステーションは、駅周辺の施設や燃料電池車などにも供給できる態勢を想定している。

 エネオスは「CO₂フリー水素のサプライチェーン構築を実現するには、大量の需要が見込まれる事業者との連携が不可欠だ」と話している。