2022.05.26 三つの改革で風土を是正三菱電機・漆間社長CEOが品質不正第3報で会見

質問に答える漆間社長CEO(25日、東京都千代田区)

 三菱電機は25日、製品の品質不正に関する第3報を公表し、東京都内で記者会見を開催した。新たに判明した不正は15製作所の101件。累計では、全22製作所のうち16製作所で148件に上る。エアコンや冷蔵庫を生産する静岡製作所(静岡市駿河区)や、テレビの開発などをしていた京都製作所(京都府長岡京市)といった民生機器の開発・生産に携わっていた事業所は不正が見つからなかった一方、社会インフラなどのB2B事業を行う事業所では意図的なものを含め不正が多く確認されている。会見における漆間啓執行役社長CEOの主な一問一答は以下の通り。

 ―16製作所で148件に不正が拡大した結果をどう感じているか。

 漆間社長CEO 大変申し訳なく、真摯(しんし)に受け止めたいと思っている。

 ―B2CとB2Bで不正件数が異なる。

 漆間社長CEO 全ての調査結果が出ていないこともあり、原因をしっかり分析し、調査委員会から報告をいただいた上で報告したい。

 ―執行役の報酬制度を改定した狙いは。

 漆間社長CEO これまで業績連動主体にしていたため、担当する事業本部の売り上げ、利益に集中してしまう面があった。非財務的なもの、エンゲージメントの向上なども含め、売り上げ、利益にこだわりすぎないような行動パターンに変えていきたいという思いがある。

 ―不正の理由としてコスト削減が挙がっている。

 漆間社長CEO 長崎製作所の「ZZ」(機種名、非常用発電設備)では、部門損益に拘泥してしまったのが背景。全数回収する機会は何度かあったが、最終的にコストを優先してしまったのは遺憾。

 ―管理職が関わっていた不正も15件あった。

 漆間社長CEO 上長が関わっていたということは、ある意味組織ぐるみと言わざるを得ない。

 ―姫路製作所では5月まで不正が続いていた。

 漆間社長CEO 本当に申し訳なく思う。自分たちの行動を正当化していた。こうした風土を是正するために、三つの改革で対応していきたいと思っている。

 ―改革の達成度も見ていく必要がある。

 漆間社長CEO 何%進んでいるとかは言えないが、半年に1回か1年に1回などでフィードバックする必要はある。浸透していないのであれば追加しなければならない。「チーム創生」で「骨太の方針」を策定したが、2025年までに定着させるスケジュールで取り組んでいる。

 ―改革を進めると仕事が増える懸念もある。

 漆間社長CEO どれをやめ、どれを追加するかなどはっきりさせる。定例化した会議をやめ、効果があるものを継続するようにする。

 ―事業所ごとに強い社員がいる。どう変えていくか。

 漆間社長CEO 執行役を通じて製作所所長や事業部長級と会話していることは、われわれから変わらなければならないということ。一気に行くとは思っていない。コミュニケーションをしっかり取っていく。

 ―中井(良和常務執行役CQO品質改革推進本部長)さんにお聞きしたい。どう対処していくべきか。

 中井常務執行役 対策はエンジニアリングだと思っている。職場風土やガバナンスも大切だが、エンジニアリングで解決しないといけない。300億円の投資で、検査データを自動で取り入れるなど行っていく。

 ―風土改革がどこまで進んでいるか疑問視する声もある。

 漆間社長CEO 三つの改革を昨年10月に発表しスタートした。今年4月には骨太の方針も出した。まだ調査中のものもあるが、対策を打つことで変えていけるものがあると考えている。内容にもっと深掘りが必要という場合には追加で対策を実行していきたい。