2022.06.20 【冷蔵庫特集】セカンド冷蔵庫の需要増加、電気代高騰で省エネ性能も注目
庫内の様子まで吟味する来店客
冷蔵庫の使い勝手を見直すきっかけにもなったコロナ禍。付加価値の高い機種や省エネ性に優れた製品を中心に販売が伸びている。
コロナ禍で、外出自粛や健康需要の高まりで自炊をする家庭が増えた。買いだめをする機会も多くなったことで、冷蔵庫の使い勝手を見直すきっかけになり、付加価値の高い機種を中心に販売が伸びている。
日本電機工業会(JEMA)の統計によると、冷蔵庫の2022年4月度の国内出荷台数は、31万3000台で前年比104.2%となり、4カ月ぶりのプラスとなった。大容量タイプだけでなく、小容量帯や中容量帯が好調だったこともプラスの要因とされる。国内出荷金額も375億円で前年比101.4%と2カ月ぶりのプラスとなった。
冷蔵庫の買い替えサイクルは13年程度とされる。世帯普及率が高い製品であるからこそ、ここ数年は毎年同じような需要動向が続いている。そうした中で、家電量販店では夏商戦に向けて、冷蔵庫の販売に力を入れている。現在、多くの冷蔵庫にある自動製氷や急速冷凍は夏場により重視される機能の一つ。
さらに、電気料金の値上げにより、24時間稼働し続ける冷蔵庫の省エネ性にも改めて注目が集まっており、販売の追い風となっている。
ヤマダデンキLABI東京八重洲(東京都中央区)は、多くの食材をまとめ買いしても十分に保存できるように、セカンド冷蔵庫を求めるお客が多く訪れる。
赤間翼フロア長は「お客さまがどのような食材を保存したいのかなどを丁寧に聞き取り、一番ふさわしい商品を提案する」と話す。中には、セカンド冷蔵庫の追加購入ではなく、メイン冷蔵庫の買い替えになるケースもあるという。
エディオン松本なぎさ店(長野県松本市)では、外出自粛の影響で買いだめをする家庭が増えたことで、500リットル以上の大容量タイプの冷蔵庫が人気を集めている。
同店では、パナソニックや三菱電機、日立グローバルライフソリューションズ(GLS)といった国内メーカーの商品が売れ筋だという。小柳裕邦店長代理は「既に国内メーカーの冷蔵庫を使っているお客さまが多く、買い替えの際も国内メーカーの商品の中から購入するケースが多い」と話す。
海外の住宅と違い、日本の住環境では冷蔵庫の置けるスペースは限られている。現在のスペースを拡大することなく、大容量の冷蔵庫を設置したいと考えるユーザーニーズを受けて、大容量を実現した冷蔵庫も増えている。三菱電機の「中だけひろびろ大容量」MZシリーズは、従来機と同じ幅と奥行きにもかかわらず、容量を30リットル以上増やした。
IoT技術を生かした新機能の広がりも続いている。
パナソニックのIoT対応冷蔵庫NR-F658WPXは、IoT家電のメンテナンスや修理が便利になるサービス「Panasonic Care(パナソニック ケア)」に対応している。使用状況に応じて、自動製氷機能の浄水フィルターを手入れするタイミングを通知する。さらに、修理保証付きのプランもあり、購入後も安心して使い続けることができる。
現在、半導体などの部品不足や原材料高騰などさまざまな問題があり、商品の在庫不足が懸念されている。販売店にとっては、いかに在庫を確保するかが重要で、夏前から前倒しして仕入れを行う店舗が多い。量販店に限らず、全国の地域店にとってもそれは同じだ。半面、大型家電の冷蔵庫を置くスペースが十分にない地域店も少なくなく、対応が難しいケースも多い。
使用中にトラブルが起きた際、スムーズに対応しなければ庫内の食品が駄目になってしまうこともあるため、素早い対応が求められる冷蔵庫。地域店は、貸し出し機や簡易的なクーラーボックスと氷などを準備して、お客の生活を守る工夫を続ける。
メーカー側も、販売店への商品供給を止めないために、必要な部品の確保を目指しながら、代替部品の用意や材料の見直しを行うなど、製品の安定した生産に向けて活動を続けている。
猛暑が予想されるこの夏、メーカーと販売店が一丸となり、冷蔵庫の販売強化を行っている。