2022.06.22 【日本ものづくりワールド特集】東芝情報システム「OneShotBRDF 光学検査技術」、微細なキズも検出
東芝情報システムは、東芝デジタルソリューションズのテーマ「シン・ものづくりDX」の展示ブースで、これまでの目視やカメラを使った検査では検出できなかった微細なキズも検出できる「OneShotBRDF 光学検査技術」(東芝特許技術)を出展している。
製造現場などでは、熟練検査員による目視検査が行われている。しかし、検査工程を熟練工に頼っているため検査コストが高くなることや、労働力不足のために人件費が高くなる。
また、検査員のスキルによる検査基準のばらつき、不良の見逃しなども発生する。「検査工程の自動化」なども進められているが、外観表面検査では小さなキズや異物を漏れなく検知するのは難しいのが現状。
OneShotBRDF 光学検査技術は、これまでの光学検査技術を進化させ、さらなる品質の高度化を実現した。光学検査は光の特性を利用して行われるが、光は対象物に当たるとその表面で反射する。光の入射と反射の角度が同じになるのが「正反射光」で、入射角に対してさまざまな方向に反射するのが「散乱光」。散乱光は、対象物の表面にキズなどがある場合に起こる。
通常のカメラによる光学検査では、光が最も強い正反射光を捉えるが、散乱光を捉えることができず、人の目では確認できない微細なキズを検知することが困難。
同技術は、光の反射角度を選択する「多波長同軸開口フィルタ」を組み合わせた独自の手法により、欠陥凹凸のわずかな散乱光をワンショットで撮像する。数マイクロメートルレベルのキズも高速、しかも広範囲に検査でき、正常部は青く、キズのある部分は赤くなど、色で分かりやすく見える化する。
人工知能(AI)、画像認識技術などと組み合わせて、検査の自動化も容易にできる。車などの部品や塗装面の不具合など、さまざまな用途で活用が見込まれる。引き合いも多く、年内には量産も可能。
なお、同技術は日本光学会主催の「2019年光学設計優秀賞」を受賞している。