2022.07.01 【家電総合特集】東芝ライフスタイル小林伸行代表取締役社長
省エネ性やIoT化を重視し訴求
商品の価値をしっかり伝える
2021年度(1~12月)は増収増益で着地し、中でもエアコンと洗濯機を前年以上に伸ばすことができた。付加価値の高いドラム式洗濯乾燥機の評価が高く、引き合いが強いため、中国の工場で生産体制を強化した。従来に比べて1.5倍ほどに生産を増やし、今年2月ごろから稼働している。
今年に入ってからは社会や経済環境が激変している。円安に加えて、原材料や輸送費の高騰など当社にとって逆風が吹く状況となっているが、それでも1~5月までは前年を上回る売り上げを達成できた。半面、急激な円安などで利益は圧迫されている。
今年も業績をけん引しているのはエアコンや洗濯機、冷蔵庫といった大型品が中心になる。当社は、中国・上海のロックダウンの影響は掃除機の一部で受けた程度で済んでいる。
主力のエアコンや洗濯機などは供給できており、そうした面も増収に貢献していると言えるだろう。
国内では、生活に関わる身近な商品の価格が上がっており、景気動向は今後も注視していかなければならない。一方で、新型コロナが落ち着きを見せてきたことで外食や旅行などにお金を使うケースが増えてくるはずだ。これまでは巣ごもりで家電に注目が集まっていたが、それが変わってくる可能性があり、需要動向に変化が出てくることも予想される。
ただ、今年は夏の節電要請が政府から出されるなど、省エネや環境という視点にさらに注目が集まると思っている。
そのため、例えば高付加価値な省エネタイプのエアコンや、省エネ性の高い冷蔵庫などをしっかり提案していく必要がある。
足元では、物価高で家計への厳しさは増しているため、リーズナブルな機種に目が行きがちになると思う。しかし、長い目で見た時の省エネタイプの利点を丁寧に説明していく。
冷蔵庫などは10年、15年前のモデルから買い替えるケースも少なくないため、省エネ性という点では家計へのメリットも大きい。ここをチャンスと捉え、お客さまに価値を伝えていく。
IoT化も重要だ。IoTや人工知能(AI)を利用することで、各家庭の使い方や特徴に合わせて家電をコントロールできる。例えば冷蔵庫では、家庭の事情に合わせた適切な制御を行えば、さらに省エネに生かせる。
今後の市場環境は不透明で見通せない。ただ、一つ一つの商品を丁寧に説明し、販売していくことが大事になると社内では常々話している。コロナに加えて、ウクライナへのロシアの侵攻や円安など経済環境の変化は加速するばかりだが、商品の価値をしっかり伝えるという基本をおろそかにはしない。
マイディアグループ(美的集団)となってからの構造改革で、経営体質は改善し、体力は確実についてきた。見通しにくい状況下ではあるが、今年度も増収増益を目指していく。