2022.07.01 【家電総合特集】動向ダイジェスト

 「今年は例年以上に不透明」--。

 下期の見通しについて、家電各社は口をそろえる。原材料費の高騰や部品調達の不安定さ、見通しにくい新型コロナの感染状況、ロシアによるウクライナ侵攻の影響などが市場に不透明感をもたらしている。ただ、そうした中でも家電の堅調な買い替え需要は続いており、政府からの節電要請もあって後半戦は「省エネ」が例年以上にキーワードとなりそうだ。

4Kテレビ軸に

 映像関連では、高精細4Kテレビを中心とした買い替え需要の刈り取りと、近年テレビ離れがささやかれる若者層の取り込みがカギ。主要テレビメーカー各社は、夏のボーナス商戦を前に最新テレビの投入を本格的に始めており、〝巣ごもり需要〟に一服感が出ている中、今一度画質や音質の良さを伝えていく工夫が求められる。

 ブルーレイディスクレコーダーも、市場規模は大きく伸びないのものの録画専用機にしかできない多彩な録画と視聴機能で、買い替えを中心に底堅く推移するはずだ。

 巣ごもりにより、家庭内で臨場感ある映像を楽しむ手段としてホームシアターにも熱い視線が注がれている。オーディオ機器にしてもそうだ。

 半面、より良い音を求めるHi-Fiオーディオを楽しむオーディオ愛好家の年齢層は高くなる傾向があり、国内オーディオ市場の成長には、若者層や女性層の獲得が求められる。(2、3面)

IoT家電の浸透

 巣ごもりは白物家電の需要も押し上げた。ここにきて反動による一服感はあるものの、遠隔操作も可能なIoT化の利点が浸透しつつある。調理家電でもクラウド上にあるレシピと連携し、最適な加熱制御を実行できるオーブンレンジなどの活用が広がってきた。

 「おうち時間」を充実させる機運も高まり、寝室専用の小型プロジェクターが登場するなど、嗜好(しこう)品でもコロナ禍で変化した生活スタイルを反映する家電が注目を集めている。

 テレワークの浸透などもあり、アフターコロナでも在宅時間は以前より長くなる傾向があるため、おうち時間を快適にする家電は今後も期待できるはずだ。(3、4面)

省エネ型に注目

 エアコンは、買い替え需要をベースに堅調な需要が期待できる。特に、省エネタイプの需要が強まるはずだ。冷蔵庫も大型を軸に、省エネ訴求が重要になる。

 ドラム式洗濯機を中心に製品供給が滞っていた洗濯機も、メーカー側の生産も正常化に向かっている。ドラム式人気は続いているため、供給が正常化すれば継続的な単価アップにつながるはずだ。

 バラエティーに富んだ製品が登場し、底堅い需要が期待できる調理家電に加え、掃除機はスティック型を軸に家事負担の軽減につながるロボット掃除機の普及にも期待がかかる。

 半面、空気清浄機は、コロナ禍で急増した需要の反動が下期も予想されるが、衛生・清潔は人々の関心事であるため、需要も復調してくるはずだ。(4、5面)