2022.07.14 充放電できる系統直結の蓄電所関西電力とオリックスが和歌山で24年開設
開設する蓄電所のイメージ
関西電力とオリックスは14日、関西電力グループの紀ノ川変電所(和歌山県紀の川市)内に系統と直結した蓄電所を開設する、と発表した。出力48MWで、定格容量113MWhの大型蓄電池を設置。市場取引を通じて系統の電力の余剰時には充電したり、不足時には放電したりする。最近相次いだ電力需給のひっ迫時への対応にもなる。2024年の事業開始を目指す。
両社が50%ずつ出資する合同会社「紀の川蓄電所」を6月に設立し、22年8月から建設に乗り出す。総投資額は約80億円を予定。
太陽光発電などの再生可能エネルギーは、天候の条件などによって発電量に変動が出る。そのため、機動的に充放電できる蓄電池の利点を生かして、調整力を生み出すことが狙いだ。
系統に直結させることで、再エネなどの電力の余剰時には充電し、不足時には放電することができ、需給の安定に寄与できる。
変電所の敷地約8000平方メートルにリチウムイオン電池を設置する。電力を貯められる量を示す定格容量は113MWhで、一般家庭約1万3000世帯分の1日の使用量に相当するという。需給調整市場など三つの電力市場で取引することを想定し、蓄電所と系統との充放電を行っていく。
系統や電力取引市場に精通した大手の関西電力と、国内で1GW超の再エネを開発し、運営面などで豊富な実績とノウハウを持つオリックスがタッグを組んだ形だが、両社とも系統に直結させる蓄電池事業は初めてになる。
会見したオリックスの佐藤厚範・環境エネルギー本部副本部長は「電力市場において変動が大きい再エネを安定電源化することが、脱炭素社会に貢献していくキーになると考え、共同で参入した」と語った。
6月には、NTTグループと九州電力、三菱商事が23年に、小規模だが同様の蓄電システムを福岡県内に導入することを公表している。