2022.07.22 【家電流通総合特集】電気製品認証協議会Sマーク〟普及に努力

へアドライヤーのSマーク表示例

メーカー・販売店・消費者、安全性の意識を変革

 コロナ禍でECサイトの活用が活発となり、中国や韓国をはじめとする海外製品が多く輸入されるようになった。それに伴い、安価な製品も市場で目立つようになっている。消費者にとっては商品を購入しやすいなど利点もあるが、一方で安全性に疑問が残る。

 日本で唯一の第三者認証制度を協議する団体「電気製品認証協議会」(SCEA)は、電気製品の安全性を担保する「Sマーク」の普及に努めている。安価な海外製品が市場に多く出回る中、国内外で実績のある第三者認証機関によって安全性をしっかりと審査されたSマーク認証製品を販売することで、メーカーや店舗にも好循環を生み出すことを目指している。

 昨年のSマーク付き電気製品の店頭普及率は66.2%だった。2014年の78.7%をピークに減少傾向にある。

 平井雄二事務局長は「現在、消費者が製品を見て安全性を確認できる最善の方法はSマークだ。メーカーと販売店も共に安全性について考え、Sマークをぜひ活用してほしい」と話す。

 多くの輸入製品を取り扱う小泉成器では、安全性の担保のため、Sマークを取得している。Sマーク取得にはテストを行う時間や費用が必要で、製品販売に向けてそれらを計算したスケジュールが必須となる。それでも、企業やブランドのイメージを確保するためには必要としてSマークを取得する。

 商品事業統括部商品企画課の吾郷晋司課長は「われわれは安全性が担保できる検査を行う施設を持っていない。Sマークは、安全な製品を取り扱っていることを示せる唯一の方法」と強調する。

 安全への意識はメーカーだけでなく、販売店にも広がっている。エディオンでは販売する商品の安全性、操作性、耐久性などを独自にテストする「商品性能テスト研究所」を10年に開設。同社は、「お客さまに商品を安心してご購入いただき、末永くご愛用いただくこと」を目的にこの取り組みを開始した。今後も、経営理念の「買って安心 ずっと満足」に基づいて独自テストを続けていく。テストの結果をメーカーにフィードバックすることもあり、同社は「商品開発のヒントにしていただいて、よりお客さまに購入いただける商品が生まれることを願う」としている。

 SCEAでは、消費者向けにSマークの認知度向上活動を継続的に行っている。SCEAのホームページには、YouTubeを活用してモーション漫画「Sマークってなあに?」を掲載。若年層へのアプローチとして、意味や活動内容を分かりやすく伝えている。また、小学校の授業でSマークについて取り上げる機会もつくっている。

 今後は、防災関連のイベントにも機会があれば参加する予定。メーカーと販売店、消費者の三者が安全性に関する意識を変えることで、業界全体に好循環を生み出していく。