2022.07.28 【半導体/エレクトロニクス商社特集】エイブリック相合活動を一層活発化へ、独自技術で差別化図る

石合 社長

 エイブリックはミネベアミツミグループの中核としてアナログ半導体事業を推進。2021年度は旺盛な半導体需要の中、計画を上回る実績を達成した。22年度もグループ全体で生産・開発体制を強化し、目標とする25年度アナログ半導体事業売上高1000億円の前倒しを狙う。

 ウクライナ情勢や世界的インフレなど不透明な市況が続くが、アナログ半導体市場は堅調に推移。注力する産業機器、車載などで高水準の需要を維持し、21~24年度にかけて市場予測を上回る9・4%の成長を目指す。

 ミネベアミツミグループの半導体部門長を務める石合信正エイブリック社長(ミネベアミツミ専務執行役員)は「21年度は売上高・営業利益とも計画を上回る水準を達成し、中期計画を前倒しで達成できた。22年度上期はリチウムイオン電池保護ICが低迷するも他製品が順調に推移し、前年同期比10%増となる。価値を訴求するバリューセリングに力を入れ、付加価値向上と顧客への最適製品の提供を通じてニッチトップを目指す」と話す。

 アナログ半導体市場の成長と継続的需要拡大を見込み、グループ全体の体制強化も進める。ミツミ電機がオムロンから譲受した滋賀工場は、22年下期の量産開始に向け準備中。月産ウエハー2万枚の8インチ生産ラインが稼働するとグループ全体の能力は50%増となり、BCPも確立できる。

 グループの技術・開発体制も強化。従来の厚木などに滋賀、群馬、岐阜の3拠点を追加する。総勢300人の技術・開発体制を確立し競争力を高める。

 グループの成長戦略で取り組む新製品開発では①リチウム保護②車載電源③相合活動④MEMSカスタム・センサー⑤IGBT⑥医療・高圧⑦磁気センサー⑧クリーンブーストの8領域に注力する。「持続可能な社会を実現するため、ニッチかつ縁の下で無くてはならない半導体を提供する」をビジョンに事業拡大に取り組む。

 石合社長は「独自技術で差別化できる製品開発力が強みだ。SDGsの要求に応えるため、環境負荷低減につながる新製品を積極投入する」と述べた。