2022.08.03 【コネクター総合特集】コネクターメーカーにアンケート電波新聞社まとめ

▶画像ギャラリーへ

 コネクターメーカー各社は、2022年度もグローバルでの積極的な事業を展開する。22年度のコネクター需要は、高い成長を遂げた21年度からは伸び率は鈍化するものの、「国内」「グローバル」続伸が見込まれる。そうした中で、各社は産業機器や自動車、各種インフラ、携帯端末などの成長分野での事業拡大を目指す。研究開発費や設備投資計画も、積極姿勢が見られている。

グローバル需要 4割が「2桁以上の増」

コネクター需要予測

 22年(1~12月)の「国内」および「グローバル」のコネクター需要予測を聞いた。

 国内需要では、回答15社中、約4分の1に当たる4社が「2桁以上の増」と回答。最も多かったのは「10%未満の増」の9社で、「減」とした企業も2社あった。

 今年1月に実施した同様の調査では、「2桁以上の増」が約4割に達し、「減」とした企業がゼロだったのに比較すると、やや慎重な姿勢が見られるものの、大半の企業が需要増を予測する。

 グローバル需要は、回答15社中、4割の6社が「2桁以上の増」と回答。その一方で、「減」とした企業も2社ほど見られた。今年1月に行った調査では、「減」とした企業はゼロだったため、やや今後の市場の先行きの見方が分かれる結果となっている。

 コネクターのグローバル市場は、21年は20年比で高い成長を遂げた。22年は21年と比較して、成長率が鈍化すると見られているが、成長軌道の継続が見込まれる。

22年度計画 「10%未満の増」が最多

コネクター部門の売上高実績・計画

 各社のコネクター部門売上高の21年度実績と22年度計画を聞いた。

 21年度実績は、回答17社中、最も多かったのは「20%以上の増」の8社。「10~20%未満の増」も4社ほど見られ、全体では「2桁以上の増」とした企業が12社と、約7割に達した。

 22年度計画では、回答17社中、最も多かったのは「10%未満の増」の8社。一方で、「2桁以上の増」とした企業も計7社あり、「20%以上の増」と回答した企業も見られた。「減」とした企業はなかった。

「産業機器(含むFA)」がトップ

22年の重点拡販分野(用途)

 22年度の各社の重点拡販分野を聞いた。トップの65ポイントを数えたのは、「産業機器(含むFA)」。2番目は「自動車電装品」が52ポイントで続いた。以下、「通信・放送インフラ関連」「携帯電話/スマートフォン」「「医療機器」「ウエアラブル端末」の順となっている。

 このほか、「環境・新エネルギー関連」「家電/住設」「タブレット端末」「航空宇宙・防衛関連」など、多様な分野が重点拡販分野として挙げられている(集計方法=上位5分野を挙げてもらい、1位5ポイント~5位1ポイントとして集計)。

「前年並み」か「2桁以上の増」

22年度のコネクター部門の研究開発費計画

 22年度のコネクター部門研究開発費計画(21年度比)を聞いた。回答12社と母数は少ないが、最も多かったのは「前年並み」の5社。「2桁以上の増」と答えた企業も計4社あり、「減」とした企業は見られなかった。

 コネクター業界では、コロナ禍の20、21年も積極的な研究開発費を計上した企業が多い。各社は、22年も新製品開発や生産技術開発などへの積極的な取り組みを推進する。

「10%以上の増」が半数占める

22年度のコネクター部門の設備投資計画

 22年度のコネクター部門の設備投資計画(21年度比)の質問では、回答12社中、半数の計6社が「10%以上の増」と回答し、うち4社は「20%以上の増」と回答した。「減」とした企業はみられなかった。

 コネクター各社の設備投資は、10年代半ば以降、高水準が継続している。20年度から21年度はコロナ禍を踏まえ、不要不急の投資を抑制する動きも一部で見られたが、22年度は旺盛な需要や増加する受注残などを背景に、積極投資が計画されている。

8割強が「2桁以上の増」回答

22年度の自動車用コネクター販売計画

 「22年度の自動車用コネクターの販売計画(21年度比)」の質問では、回答12社中、8割強の10社が「2桁以上の増」と回答。うち2社は「20%以上の増」と回答した。半導体不足の長期化や上海ロックダウンも響き、今期4月以降も自動車減産が続いているが、車の電子化・電動化は、自動車1台当たりのコネクター搭載数量を大きく押し上げる。下期に向け、半導体不足緩和に伴う自動車市場回復も期待されている。

最多は「10%未満の増」、全体で増占める

22年度のロボット用コネクター販売計画

 「22年度のロボット用コネクターの販売計画(前期比)」の質問では、回答があった14社の中で最も多かったのは「10%未満の増」とした8社。全体では「増」とした企業が計9社となり、「減」とした企業は見られなかった。

 ロボットの世界需要は、産業用ロボット/サービスロボットともに中長期で高い成長が見込まれている。日本のロボットメーカーのグローバルでのプレゼンスも高く、同市場を重点市場として位置付けるコネクターメーカーが増加している。

13社中の7社が「増」に、「減」はなし

22年度の医療機器・ヘルスケア機器用コネクター販売計画

 「22年度の医療機器・ヘルスケア機器用コネクターの販売計画(前期比)」の質問では、回答のあった13社中、7社が「増」とした。そのうちの3社は「2桁以上の増」と回答した。「減」と回答した企業は、見られなかった。

 医療機器・ヘルスケア関連は、中長期の電子部品の需要拡大に向けた期待分野の一つ。20年以降、世界的なコロナ禍により、通常の医療機器への設備投資についてはやや抑制傾向が続いているが、今後、徐々に需要が反転していくことが期待されている。

「前年並み」「2倍以上」と回答も

22年度の5Gインフラ設備用コネクター販売計画

 「22年度の5Gインフラ設備(基地局など)用コネクターの販売計画(前期比)」の質問では、回答があったのは11社と母数は少ないものの、その中で最も多かったのは「前年並み」と答えた7社。「2倍以上」と回答した企業もあり、「減」とした企業は見られなかった。

 5G普及の本格化に向け、今後も5G基地局需要は拡大が予想されている。次世代の6Gに向けた技術マーケティングや研究開発も始まりつつある。

「中国」「米国」「ドイツ」の順

海外営業体制強化

 「今後営業体制を強化する国や地域」の質問(複数回答)では、最も多かったのは「中国」の25ポイント。「米国」が23ポイントで僅差で続いた。以下、「ドイツ」「タイ」「台湾」「韓国」の順となっている。今年1月調査では米国がトップだったため、1位と2位の順位が入れ替わったが、米中の2カ国が引き続き重視されている。

 最近は、米中摩擦激化に伴うデカップリングの議論なども進んでいるが、電子部品各社の、米中市場重視の姿勢に変化はない。

 アンケート回答企業一覧 ▽アイティティキャノン▽イリソ電子工業▽SMK▽オータックス▽京セラ▽ケル▽小峰無線電機▽サムテックジャパン▽TE Connectivity▽七星科学研究所▽日本航空電子工業▽日本端子▽ハーティング▽ヒロセ電機▽ホシデン▽本多通信工業▽丸紅エレネクスト▽山一電機▽ヨコオ。(19社/五十音順)