2022.08.11 西村経産相、力強い経済成長へ決意第2次岸田改造内閣発足

就任会見に臨む西村康稔経済産業相=10日夜、東京都千代田区

 10日発足の第2次岸田改造内閣で入閣した西村康稔経済産業相は同日夜の就任会見で、岸田文雄首相が掲げる経済政策「新しい資本主義」の実現に向けた成長戦略に力を注ぐ考えを表明した。直面する足元の課題にも触れ、原油価格や物価の高騰で厳しさが増す新型コロナウイルス禍の経済再生に万全を尽くす姿勢を強調した。

 岸田首相は重点課題の一つとして「官民連携のもとで社会課題を成長のエンジンに変え力強い成長を実現する」ことを挙げた。そのほか、スタートアップが次々と生まれる生態系「スタートアップエコシステム」の確立や企業・産業のデジタル化、サプライチェーン(供給網)の強靭化などの指示も受けたという。

 西村氏は、銃撃を受けて死去した安倍晋三元首相が第2次政権下で主導した経済政策「アベノミクス」の三つ目の柱「成長戦略」にも言及。「中長期的に成長できる、そして所得が向上していく。そのためのイノベーション、改革に取り組んでいければと考えている」と力を込めた。

 さらに日米の経済版の閣僚協議「2プラス2」にも触れ、「自由で公正な貿易投資の環境をつくることが何より大事。経済安全保障の観点から(次世代)半導体の共同研究開発についてもしっかりと進める」と述べた。

 また、エネルギー行政を担う立場から原子力発電所の再稼働にも言及。「原子力規制委員会が新規制基準に適合すると認めた場合にはその判断を尊重し、地元の理解を得ながら進める」と言明。世論の賛否が割れる原発の新増設や建て替えについては「現時点では想定していない」と政府の従来方針を踏襲した。

 温室効果ガス排出量を実質ゼロにするカーボンニュートラルの実現に向けては「原子力を含むあらゆる選択肢を追求する」と明言。次世代革新炉の研究開発や人材育成といった「将来を見据えた取り組みも足元からしっかりと進めていきたい」とも話した。

 また、政府が脱炭素化を経済社会の変革につなげようと7月に立ち上げた「GX(グリーントランスフォーメーション)実行会議」にも触れ、実行に向けた議論に意欲を示した。

 西村氏は通商産業省(現・経産省)の官僚出身で、古巣を率いる立場になる。経済財政・再生相の経験もある。