2022.09.24 メタバースのビジネス活用に現実味、顧客接点強化の切り札に
メタバース上で接客するイメージ(提供=NTTコミュニケーションズ、トランスコスモス)
言葉のイメージや期待が先行してきたインターネット上の仮想空間「メタバース」。この注目技術を顧客に近い実務に応用する可能性を探る動きが活発化してきた。顧客サービスの最前線を担うコンタクトセンターをメタバース上に構築して実用性を検証する実証実験が始動。メタバース上を移動して顧客と対話できる人工知能(AI)搭載のアバター(分身)も登場した。
今夏、メタバース上に「バーチャルコンタクトセンター」を再現する実験が動き出した。仕掛けるのは、NTTコミュニケーションズとコンタクトセンター大手のトランスコスモスだ。各拠点や在宅で働いている従業員をバーチャル空間に集約することで、時間や場所の制約に縛られない柔軟な働き方を追求。新型コロナウイルス禍を機に増える在宅オペレーターが抱く孤立感を解消するなど、運用面の課題解決につなげる。
さらに両社は、メタバース上にバーチャル店舗を構築し、よりリアル店舗に近い接客を実現する実験も進める計画だ。
音声認識ソフトを手がけるアドバンスト・メディア(東京都豊島区)は、顧客の発話を認識しコミュニケーションできる「AI音声対話アバター」を開発した。問い合わせ対応や製品紹介などの業務を無人化するニーズを開拓。顧客接点の強化を支援するサービスとして、2023年度以降の実用化を目指す。
果たしてメタバースを扱う技術は、顧客をつなぎとめる「切り札」となるか。各社が競い合うように取り組む用途開発を通じて、最適な使い道と課題が浮き彫りになりそうだ。