2022.10.12 【日本ロボット工業会創立50周年特集】世界の産業用ロボット、好調継続 22年は過去最高を予測 アジア/豪の需要が大幅増

ABBなど世界企業を擁する欧州の産業用ロボット市場

今年9月に米国で開催された国際工作機械見本市「IMTS2022」でも産業用ロボットが注目を集めた今年9月に米国で開催された国際工作機械見本市「IMTS2022」でも産業用ロボットが注目を集めた

 産業用ロボットの市場が世界的に拡大している。製造業の自動化と継続的な技術革新の傾向から力強い回復をみせ、国際ロボット連盟(IFR)によると2021年の世界出荷台数は過去最高を更新した。22年も好調を継続し、過去最高を更新する見通し。

21年は27%増

 IFRによると、20年は世界がコロナ禍にある中でも全世界では38万4000台、21年は暫定値で過去最高の48万7000台が出荷され、前年比27%増加した。

 アジアは産業用ロボットの世界最大の市場で、20年に新たに設置された産業用ロボットの71%がアジアでの設置だった。特に中国へは前年比20%増の16万8400台が出荷され、過去最高だった。累計稼働台数は94万3223台となった。

 日本は中国に次ぐ2番目のロボット市場だが、20年はコロナ禍で同23%減、3万8653台だった。自動車や電子機器製造業の需要が低迷した。累計稼働台数は37万4000台となった。

 世界3番目のアメリカの20年出荷台数は同8%減の3万800台。自動車業界向けは大幅に現象となったが、エレクトロニクス業界向けが同7%増加。累計稼働台数も15年以降、年率6%で増加している。

 4番目の韓国は、出荷台数が同7%減の3万506台。累計稼働台数は、同6%増の34万2983台となっている。

 ヨーロッパは、同8%減の6万7700台。自動車産業の需要が同20%減だったが、一般産業で同14%増となった。ヨーロッパで最も多いのがドイツで2万2300台。パンデミックで難しい状況ながら過去3番目の数字となった。一般産業や製造業以外の低コストロボットの需要に支えられて成長した。

 イギリスは同8%増の2205台。自動車産業は同16%増の875台、飲食料品業界も304台となり、19年比で倍増。東ヨーロッパからの外国人労働者がコロナ禍で帰国してしまったことなどから人手不足が深刻であるが、今後は2桁成長が見込まれている。

 21年の産業用ロボットの出荷は、自動化と継続的な技術革新の傾向に伴い、パンデミックから力強い回復をみせた。IFRが6月に発表した暫定値で全世界では過去最高の48万6800台が出荷され、前年比27%増加。パンデミック前の18年の年間42万2000台を超えた。

 アジア/オーストラリアの需要が最も大きく伸び、出荷台数は同33%増の35万4500台となった。米州は同27%増の4万9400台を出荷した。欧州では同15%増の2桁成長を遂げ、7万8000台が出荷された。

エレ産業が拡大

 21年の主な成長ドライバーはエレクトロニクス産業(13万2000台、前年比21%増)で、自動車業界(10万9000台、同37%増)を上回った。金属・機械(5万7000台、同38%増)が続き、プラスチック・化学製品(2万2500件、同21%増)、食品・飲料(1万5300台、同24%増)となった。

 欧州は21年の出荷が18年のピーク時の7万5600台を超えた。自動車産業がけん引し、次いでプラスチックと化学製品が続いた。

 アメリカは過去2番目の出荷台数となり、18年の5万5200台を上回った。

 アジアは依然として世界最大の産業用ロボット市場であり、21年の出荷台数のうち73%がアジアで占めた。21年の出荷台数は35万4500台で、20年比で33%増加した。エレクトロニクス業界が圧倒的に多く12万3800台、同22%増となり、自動車業界(7万2600台、同57%)、金属・機械業界(3万6400台、同29%)と続いた。