2022.10.12 【日本ロボット工業会創立50周年特集】急成長する中国ロボット産業 21年世界出荷の半数占める 基幹部品含め内製化が進む
急成長している中国のロボット産業
IFR(国際ロボット連盟)によると中国の産業用ロボット市場は、2021年の出荷台数で前年比44%増の24万3300台の新記録を達成し、世界のロボット出荷の半分を占めた。
全ての産業で力強い成長を遂げている中国だが、中でも電気・電子がけん引し、同30%増の8万1600台となった。自動車産業も電気自動車製造の力強い回復により21年には同89%増加し、5万700台が出荷された。
25年までに達成へ
中国の工業・情報化部(MIIT)は今年初めに「第14次ロボット産業発展5カ年計画」を発表。ロボット産業が今後の産業発展の基盤技術になるとの考えから、サーボモーターや制御パネルといったロボットに不可欠な基幹部品も強化することで、25年までに20%増という目標を達成したい考えだ。
同時にロボット工学技術者の育成を目指している。今年6月には人的資源社会保障省から「ロボット工学技術者」を含む18の新しい職業が発表された。この職業は、ロボット用の制御アルゴリズムとオペレーティングシステムの研究開発、およびデジタルシミュレーション技術の使用に焦点を当てている。
中国市場では安川電機、ファナック、不二越、川崎重工業、ヤマハ発動機、エプソン、三菱電機、デンソー、パナソニックなど日系のシェアが高く、欧米などではABB(スイス)、ユニバーサルロボット(デンマーク)、KUKA(ドイツ)、HIWIN(台湾)、Hyundai(韓国)などが市場で競っている。ロボット販売台数(本体)に占める海外メーカーのシェアは19年で約70%だったが、「中国製造2025」政策の推進で中国企業により内製化が急速に拡大。中国の主要産業用ロボットメーカーが躍進している。
国内最大のロボットメーカーとされる国営の新松(SIASUN、瀋陽市)は、中国最高レベルの科学技術機関である「中国科学院」に所属するハイテク上場企業で、瀋陽市に主力工場を構える。南京熊猫(パンダ、南京市)は、新松グループに並ぶがロボット内部の駆動部などに日本製を採用している。
安徽省配天機器人技術(A&E、安徽省)は北京、上海、安徽に研究開発センターを構えている。斯坦德機器人(standard robots、深圳市)は産業用のAMR(自律走行運搬ロボット)の研究開発および製造を専門としている。中国家電大手メーカーの美的は16年に東芝の白物家電を買収しただけでなく、ドイツのKUKAも買収した。霊動科技(ForwardX Robotics.北京市)は協働型自律搬送ロボットを製造している。
このほか埃斯頓(ESTUN、南京市)、拓斯達(TOPSTAR、東莞市)、新時達(STEP、上海市)などが有力企業として中国ロボット産業に一翼を担う。
産業用ロボットのキーパーツの内製化も進む。
動作制御、サーボドライブ、精密減速器などの重要コア技術・部品が加速的にブレークスルーし、小規模生産向けロボットの技術レベルはすでに世界先端に達していると見る向きも多い。