2022.10.28 キオクシアとWD 四日市工場にY7棟竣工 フラッシュメモリー162層中心に1.3倍に増産 第1期の総投資額1兆円に
竣工したY7棟
【津】キオクシアと米ウエスタンデジタル(WD)は26日、キオクシア四日市工場(三重県四日市市)の第7製造(Y7)棟の竣工(しゅんこう)式を開いた。キオクシアは第1期の総投資額が約1兆円になると表明。中長期的な市場拡大に備え、来年早期に出荷を開始する予定の3次元フラッシュメモリー第6世代製品(162層)を中心に、フラッシュメモリーの生産増強に対応していく。
Y7棟の設備投資の一部については、経済産業省から最大929億円の交付金を受ける予定。Y7棟の稼働で、同工場全体のフラッシュメモリーの生産能力は、従来の1・3倍に増強される。
高い生産能力
生産を進める162層BiCS LASHは、積層化だけでなく平面方向での集積度を高め、大容量化とコストバランスの最適化、高性能化を実現した3次元フラッシュメモリー。
Y7棟は鉄骨7階建て、建屋面積約2万平方メートル。人工知能(AI)を活用したスマートファクトリーで、6棟統合生産による高い生産能力と生産効率を備える。クリーンルームは自動搬送システムが導入され、製品の受け渡しや装置への運搬を自動化するなど効率化させている。
環境先進工場
また、最新の省エネ生産設備を導入し、環境先進工場として各種取り組みを盛り込む。従来の工場棟と同様に、地震の揺れを吸収する免震構造を採用している。
関係者を招いた竣工式で、キオクシアの早坂伸夫社長は「Y7棟はデジタル化に不可欠なAIやビッグデータ、スマホ、パソコン、データセンターの記憶装置となる最先端フラッシュメモリーを生産する」と紹介。「WD社とは20年以上の協力関係にあり、全世界のNAND型の約3割を供給している。今後、社会課題を解決する優良企業として、四日市市の地域社会発展にも寄与する」と意欲を語った。
WDのシバ・シバラム技術兼戦略統括プレジデントは、Y7棟について「世界中の顧客にサステナブルなメモリーとストレージ技術を提供するという当社の取り組みを強調する役割を果たす」と強調した。両社の今後については「3次元フラッシュメモリーの共同開発や市場動向に沿った共同投資を通じて、シナジーを最大限発揮し、競争力を強化し、メモリー分野のリーダーシップを強化する」とした。
足元ではメモリーの需要減退が懸念され、キオクシアも生産調整を表明しているが、中長期の能力増強や開発投資は引き続き進める姿勢を改めて示している。