2022.10.31 「環境」柱に各社が訴求 プレステ、太陽電池…CEATEC2022
ソニーのブース
最先端技術などを一堂に集め、先月開催された「CEATEC2022」(幕張メッセ=千葉市美浜区)。環境関連のソリューションが、通奏低音のように流れていた。日本を代表する大手は環境を柱に訴求し、ベンチャーの動きも多数。海外の大使からは「日本発のイノベーションは多い」との声が聞かれた。環境関連は今後も大きなトレンドになりそうだ。現場で取り組みの一端をたどった。
大きな展示を構えたうち、ソニーのテーマは「ずっと、地球で感動を分かち合うために。」、東芝のテーマは「人と、地球の、明日のために。」。図らずも、人から地球の視点までを盛り込み、環境関連の取り組みを訴求する形になった。
話題のEVもさることながら、ソニーのブースで目を引いたひとつは、プレイステーションスタジオが開発中の新しいアプリケーション「Climate Station」。バーチャルリアリティ(VR)による没入感を活用。複雑な気候データを見て、操作し、理解することを可能にし、気候変動の深刻さへの関心を高める狙いだ。順番待ちの行列ができるほど。2023年にプレイステーションプラットフォームで提供予定という。
ソニーが独自開発した環境配慮の紙素材「オリジナルブレンドマテリアル」も注目を集めたた。竹や、さとうきび、市場回収したリサイクルペーパーを原料とする。製品やパッケージに使えるものだ。これを、展示ブースの什器やブラインドなどにも今回、活用した。「消費者からは、製品パッケージなどへの関心も高まっている。取り組むことも企業の責任」(担当者)という。
一方、東芝ブースでも、カーボンニュートラル社会の実現に貢献する製品・ソリューションを中心に展開。超電導モーターや、脱炭素に欠かせないパワー半導体、次世代太陽電池の2種類(タンデム型、フィルム型)も披露した。
このほか、再生可能エネルギーの有効利用で水素を生成する「Power to Gas (P2G)」や、排出されたCO₂を電気分解して再び資源に変換する「Power to Chemicals (P2C)」の技術も紹介した。
これらのブースを視察に訪れた「環境先進国」デンマークの大使も興味津々で、ソニーブースでは素材を手に取り、また東芝ブースでは、「太陽電池はどれくらいの大きさにできるのか」など熱心に質問を繰り出した。大使は「日本発のイノベーションが多いことを改めて感じた」と日欧の連携に意欲を示した。
海外勢のスタートアップも多数参加したが、特に欧州の企業の多くは、社会課題解決、特に環境に貢献する製品・ソリューションを提起するところが目立った。日本市場での展開を含め、内外の協業も注目されそうだ。
(11月1日の電波新聞/電波新聞デジタルで詳報予定です)