2022.11.01 【IHクッキングヒーター特集 】買い替え需要が顕在化
買い替え需要の顕在化で堅調なIHクッキングヒーター
200VビルトインIHクッキングヒーターは、安心・安全・クリーンといった本来の長所に加え、近年はグリルの調理性能の向上など調理機器としての進化が加速し、今期は前年を上回るペースで推移している。買い替え需要も顕在化しており、近年内食化が進み、家で調理する機会が多くなったことから、より関心は強まるとみられる。
200Vビルトインタイプ(2口以上)の需要は、東日本大震災があった2011年以降、一時需要が停滞していた時期もあったが、市場は16年度以降〝再成長期〟に入ったとされる。
今期は、IHクッキングヒーターの動きが良く、需要が回復している。日本電機工業会(JEMA)の出荷統計によると、22年9月は、前年同期比108.5%と好調で2カ月連続プラス、4~9月累計でも前年同期比108.2%と健闘している。
市場では00年前後の市場拡大期に購入したユーザーの買い替え需要が見込める。買い替え時期を迎えたストック台数は、600万台程度ともいわれる。
コロナ禍で、自宅での調理の機会が増える中、最新のIHクッキングヒーターは、調理性能が大きく進化しており、とりわけグリルの調理性能や清掃性の高さは、ユーザーにとって魅力的なポイントとなる。
例えば、パナソニックの最新モデルでは、冷凍した食材をそのままグリルで手間なくおいしく焼き上げる〝凍ったままIHグリル〟が好評だという。
まとめ買いで、食材を冷凍保存するユーザーは多く、これを解凍の手間なく簡単においしく調理できることによる〝時短〟が支持されている。併せてグリルや天面の掃除のしやすさも家事負担軽減につながる特長で、コロナ禍の中、IHクッキングヒーターの良さが改めて見直されている。
■良さをしっかり訴求して買替需要喚起
IHクッキングヒーターは、新設住宅での導入拡大はもとより、既築住宅における他熱源からの転換や、既存IHクッキングヒーターから最新IHクッキングヒーターへの置き換え需要の喚起が重要だ。
IHクッキングヒーターの既存顧客の買い替え需要獲得は、ユーザーも長年利用してきて、その良さやメリットを実感している人も多いため、比較的成功率は高い。
10~15年前のIHクッキングヒーターと比べ、最新のIHクッキングヒーターがどれだけ進化したか。とりわけIH加熱技術の進化による調理性能の進化、グリル調理機能の進化、操作性・清掃性など使い勝手の向上といったメリットを丁寧に説明することで、買い替え需要の喚起を図ることが重要だ。
パナソニックの主力製品
高級ゾーンから普及モデルまで機種充実
ユーザーニーズに寄り添う
パナソニックは、内食化の傾向が強まり、家庭で調理する機会が増えていることに応え、200VビルトインIHクッキングヒーターの商品戦略を強化し、市場をけん引していく。
同社では「グリル革命」を目指したラクッキングリル搭載のビルトインIHクッキングヒーター高級モデルAシリーズ、中級モデルBシリーズを昨年秋から投入した。
また、普及・ボトムモデルでも新モデルとして11月からグリルの手入れ性を高めたKシリーズ、Lシリーズを投入し、中・高級~ボトムの各ゾーンでユーザーニーズに根差した商品戦略で臨む。
中・高級ゾーンのA/Bシリーズはともに販売も好調で、計画を上回るペースで推移しているという。
「ラクッキングリル」による手入れ性など満足度は高く、光るリングや光火力センサー、凍ったままIHなど使い勝手の良さも評価が高いという。
最上位モデルのAシリーズは「凍ったままIHグリル」機能の進化で、丸魚や食パンも凍ったまましっかり焼き上げ、解凍の手間なく手軽に時短調理ができるメニューが3メニュー増え、計8メニューに拡大した。
また「焼き物アシスト」機能を拡充し、子どもと楽しく一緒に調理できるメニューや、日々の献立に役立つメニューなど、多彩な20種を加えた30メニューに対応し、音声と表示でお手軽調理を実現している。
操作性も向上させた。グリル操作部にもフルドット液晶を採用し、見やすく、分かりやすい簡単操作を実現している。
■普及・ボトムゾーンもグリルを改良
11月21日から発売する新製品K/Lシリーズは、現行の普及/ボトムモデルG33シリーズ/G32シリーズをモデルチェンジするシリーズとなるが、最大の進化点がグリルの使いやすさ(手入れ性)で、焼き網をやめてグリル皿に方式を切り替えた。
焼き網がないため、今までのように焼き網の1本1本をきれいに洗う面倒さがなく、日常洗うのはグリル皿のみ、と手入れの手間は今までより大きく省ける。
またグリル皿を使うため、下ヒーターに油が当たらず、油煙が上がらず汚れにくい。焼ける食材の数量は今までと変わらない(サンマの場合4匹)。さらにグリル皿の方が小さい食材も置きやすいので、調理の幅が広がる。
同社では高級ゾーンから普及モデルまで、ユーザーニーズに寄り添った商品進化を図ることで、さらなるIHクッキングヒーターの普及拡大を目指していく。