2022.11.02 【ケーブルテレビ特集】住友電気工業 高度ケーブル自主放送システムなど訴求
FLEXCITERシリーズのライブ配信ユニット
住友電気工業は、ケーブルテレビ(CATV)の局内装置、伝送路機器、宅内端末までトータルソリューションを展開し、CATVの放送サービスを支える信頼性と拡張性を重視した機器やシステム構築に貢献してきた。
CATV業界では、現状のC-CAS方式(2K)から4K8K放送に対応するACAS方式への移行を進めている。
同社は高度化対応デジタルヘッドエンド装置「FLEXCITERシリーズ」として、高度ケーブル自主放送システムを提案。高度ケーブル自主放送ヘッドエンド装置とケーブルテレビのローカル自主放送にスクランブルをかける「高度ケーブルローカル自主スクランブル装置」を展開している。これらの装置はコンパクトな設計で、より高密に実装できることが特長。省スペース化に貢献する。
新4K8K衛星放送など、放送サービスの高度化や通信トラヒックの増大により、伝送帯域が広いFTTH化への取り組みも積極的だ。同社は従来FTTHシステムを製品開発に取り組んでおり、信頼性の高い製品として広く採用されている。特に従来の10倍の10ギガbpsの通信速度を提供する10G-EPONシステム(OLTとONU)は、省スペースや運用コスト削減などで全国の事業者から好評を得ている。今年度は、OLT冗長用光スイッチを使用した回線カードやPON区間の冗長化を実現する新しい機能を開発中で、来年度に製品化を目指す。新しい機能追加でより信頼性を高める。さらに、IPマルチキャスト機能も実装し、今後のIP放送への対応も可能にする。
一方、集合住宅の光回線高速化が進まない中、集合住宅向け通信高速化ソリューションとして、DOCSIS信号をノードで同軸信号に変換するRemote-PHY(サーバ管理型)とRemote-MACPHY(ノード分散型)の両システムを提案している。
昨今、災害が多く防災への関心が高くなっていることを背景に、防災に向けたシステムも強化。昨年からデータ放送と連携してハイブリッドキャストによるライブ配信ソリューションを提案、APCマスター設備からヘッドエンドまでトータルソリューションで提供する。MPEG-DASH出力対応の「ライブ配信ユニット」は、今年度末に発売予定。
国土交通省の河川や道路の監視カメラ情報をリアルタイムでテレビを通じて配信するソリューションとして、放送と通信を連携させるハイブリッドキャストの仕組みを使い、身近なテレビを通じて防災・地域情報を配信できいつでも見られるのが特長だ。
CATV網を使って簡易にライブ放送が発信できるのもメリット。映像と音声で対応できるため、防災のみならず、地域のイベント情報への活用にも訴求している。同社はいつでも誰でも必要な情報が見られるシステムづくりを目指し、さらなる需要拡大を狙う。
さらに、IP放送を見据えて、昨年からCATV向けにIP放送ができるプラットフォームとして「RF-IP伝送システム」を開発している。CATV事業者と一緒に実験しながら、2025年の商用化を目指す。