2022.11.02 電子部品大手、22年度上期は売り上げ過去最高 電動車や産機需要が堅調、円安も業績押し上げ

業績拡大が続く電子部品メーカー(CEATEC 2022のアルプスアルパインブース)

 11月2日までに発表した電子部品メーカー大手8社(TDK、日本電産、京セラ、村田製作所、ミネベアミツミ、日東電工、アルプスアルパイン、ローム)の2023年3月期連結中間決算(22年4〜9月)は、全8社ともに前年同期比増収かつ上期として過去最高の売上を計上した。xEV(電動車)や産機向けの部品需要が堅調に推移し、為替の円安進行も業績押し上げに大きく寄与した。一方、下期の市場見通しについては、世界的な景気減速懸念により慎重な見方が強まっているが、今年度通期の売り上げ計画も全社が過去最高の更新を見込む。

 各社の上期業績は、第1四半期(4〜6月)は中国ロックダウンの影響を受けたが、第2四半期(7〜9月)にはこれらがほぼ解消された。電子部品のアプリケーション別では、ノートパソコン(PC)やタブレット端末、中華系スマートフォンなどが低迷した一方で、xEVやADASなどの自動車関連、産機・設備投資関連、米アップル社をはじめとするハイエンドスマホの需要が堅調に推移。加えて、高水準の受注残や為替の円安による寄与もあり、各社の上期売り上げは総じて堅調だった。

 収益面では、原材料価格高騰や、ロシアのウクライナ侵攻などを起点としたエネルギーコスト上昇、物流費高止まり、中国ロックダウン対応のための緊急対策費計上などが収益を圧迫したが、増収効果に加えて、為替の急速な円安進行が輸出事業の収益性を改善させた。

 この結果、上期は6社が増収増益となり、TDK、日本電産、日東電工の3社は売り上げ・営業利益ともに上期としての過去最高を更新した。

 一方で、足元の部品需要は民生系を中心に下押し傾向が強まり、特にミドルエンド・ローエンドを主体とする中華系スマホや、ノートPC、タブレットなどの部品需要は弱含みの状況が続いている。22年の世界のスマホ生産台数は、年初時点のプラス成長予測に対し、「21年比で1割程度のマイナスになる」との予想もある。世界的なインフレ加速や地政学リスクの高まりなどが今後世界景気に与える影響も懸念され、部品各社の下期の市場見通しは慎重姿勢が強まっている。急激な為替変動に対する警戒感も強い。

 そうした中でも、xEV需要や自動化ニーズに関わる設備投資需要、ハイエンドスマホ向け需要などは今後も堅調な推移が予想され、各社のビジネスをけん引していく見通し。

 市場の先行き不透明感が強まる中でも、各社の今年度通期(23年3月期)の連結業績見通しは、8社全社が増収かつ過去最高の売り上げ計上を計画し、営業利益も4社が過去最高益の更新を見込む。通期では連結売り上げ2兆円超え企業が3社(TDK、日本電産、京セラ)誕生する見通しだ。
(11月4日付電波新聞・電波新聞デジタルで詳報します)