2022.11.25 電子部品メーカーの4~9月決算、好業績相次ぐ 電動車や産機向け需要が拡大、円安も追い風に

 電子部品メーカーの好業績が続いている。主要電子部品メーカー41社の2023年3月期第2四半期(4~9月)連結決算は、全体の約7割の企業が前年同期比で2桁の増収となり、営業利益も約6割の企業が2桁以上の大幅増益を確保した。電動車や産業機器向けの需要が好調に推移し、為替の円安も追い風となり、半導体不足の長期化や原材料価格高騰といったネガティブ要因をカバーした。

 41社の上期業績の内訳は、売上高は全体の9割強の38社が前年同期比増収となり、うち29社が2桁の増収を確保。2割以上の増収となった企業も14社と約3分の1に達した。営業利益は29社、経常利益は34社が増益となり、経常利益が2桁以上の増益となった企業が28社と全体の7割弱に達した。

 各社の上期業績は、1Qは中国ロックダウンに伴う需要変動の影響を受けたが、2Q(7~9月)にはこれらがほぼ解消された。用途別では、ノートPCやタブレット端末、中華系スマートフォンなどの需要が低調だった一方で、電動車やADAS(先進運転支援システム)などの自動車関連や、産業機器/半導体製造装置、米アップルのハイエンドスマホなどの需要は堅調さが継続した。昨年度来の高水準の受注残や急速な円安進行もあり、各社の業績は総じて堅調だった。

 この結果、多くの部品企業が上期は期初計画を上回る決算数値となり、通期の業績予想を上方修正した企業も相次いでいる。

 一方で、直近の電子部品市場は、ノートPCやタブレット端末、スマホなどのICT機器向けが低調に推移しているほか、データセンター関連の需要も減速、また、半導体設備投資の鈍化により、半導体関連の部品需要にも陰りがみられている。

 それでも、下期には、半導体不足解消に伴う自動車挽回生産が期待されているほか、FA関連の需要も好調さが継続する見通し。このため、下期の売上高は上期を下回る計画の企業が多いものの、全体としては下期も高水準での推移が見込まれる。

 その一方で、下期以降に向けては、中国での新型コロナ感染再拡大や、世界的な高インフレによる消費鈍化、地政学リスクの高まり、不安定な為替動向など不透明要因も多いため、各社ともに市場動向や客先の生産動向を慎重に見極めながら、事業を展開する。それでも、中長期の電子部品グローバル需要の成長見通しに変化はなく、各社の下期以降の中長期を見据えた設備投資意欲も積極姿勢が継続している。

 41社の通期の連結業績予想は、売上高は約95%の39社が増収を計画し、うち28社は2桁増収を計画。営業利益は増益または黒字転換が29社で、うち24社は2桁以上の増益を見込む。

(28日付電波新聞/電波新聞デジタルで詳報します)