2022.12.06 【SMD特集】高密度実装ニーズに対応 小型・高機能・高性能化が加速 

スマートフォン電源回路用インダクター

 表面実装技術(SMT)の広がりを背景に、チップ部品(SMD)技術が高度化している。スマートフォンの高機能・高性能化や自動車の電装化進展、IoT端末や各種モジュールの高密度実装ニーズの高まりが、SMDの小型・高機能・高性能化を加速させている。

 SMDのグローバル需要は、新型コロナ感染症拡大に伴う2020年前半の低迷を経て、20年夏場以降、需要が反転。以降、想定を上回るペースで需要が増加し、21年、22年と堅調に推移している。分野別では、自動車や産業機器、ハイエンドスマホなどの高機能化と需要増が、SMDの成長を支えている。

中長期で堅調な需要

 SMDのグローバル需要は、短期的な需要の増減はあっても、今後も中長期で堅調な推移が見込まれる。SMD各社は、今後も機器の小型・高機能化に照準を合わせ、積極的な新製品開発を推進する。

 製品別では、抵抗器は、自動車のADASや電動化に向けた製品開発が進展。5GスマホやIoT端末向けの超小型品開発にも力が注がれる。

 5Gスマホ向けは、0603、0402サイズの需要が伸びる見通し。電源回路では、電流検出用に低抵抗チップが用いられ、中でも金属板タイプの需要が伸びている。モジュールは部品内蔵基板で小型化する動きもみられる。銅めっき接続方式では銅めっき電極を形成した専用部品が必要で、チップ抵抗器では厚み0.13ミリメートルまで極薄化している。さらに、次世代用に0201サイズの超小型チップも提案されている。

 車載は、電源周辺回路では硫化発生による抵抗値断線を防ぐ耐硫化チップ抵抗器が使用される。ECU用では、耐サージチップ抵抗器が搭載される。金属板抵抗体が製品ボディーを兼ねるパワー低抵抗チップ抵抗器の大電流、ハイパワー、低抵抗化も進む。

 積層セラミックコンデンサー(MLCC)は、車載用に低損失、三端子、共振用、高耐熱、高電圧、大容量化の開発が進む。スマホ用は0402/0603サイズ品の大容量化が進む。0201サイズでは0.1μFまで大容量化が進展。基板内蔵用は厚み0.064ミリメートルまで極薄化している。

 アルミ電解コンデンサーは、電解液タイプに加え、ポリマータイプ、ハイブリッドタイプの開発が活発。ハイブリッドタイプは低ESR、高信頼性の高耐電圧が特徴。ECUなどで採用が急増しており、150度対応品も投入された。

技術革新が進む

 インダクターも5Gや車載を中心に技術革新が進む。高周波インダクターは、高Q化、高精度化と小型化を兼ね備えた製品が追求され、0402サイズでの高Q化進んでいる。電源用パワーインダクターは、フェライト巻線型、フェライト積層型のほか、近年はメタル系パワーインダクターの巻線、積層、薄膜があり、1608サイズなどの小型化が進展。メタル積層チップパワーインダクターは、1005サイズも製品化された。ECU用では150度対応へと耐熱技術が高度化。180度品も開発されている。

高密度実装を支える部品メーカー

[旭工芸]

各種SMDキャリアテープ 超小型チップから高信頼品向けまで最適品を供給

 旭工芸は、8ミリメートル幅テープ、プラスチックエンボステープを主力に、各種SMDのキャリアテープを手掛けるメーカー。スマートフォンやモジュール向けの超小型チップから自動車、産業機器向けの大型チップや高信頼性チップ向けまで、高品質で最適なキャリアテープを供給する。

 小型SMD向けの8ミリメートル幅テープは、汎用(はんよう)サイズから0603サイズおよび0402サイズなどの超小型チップ部品用まで対応。8ミリメートル幅キャリアテープは紙テープのパンチ品、プレス品、フィルムテープのパンチ品、エンボス品を供給する。

8ミリメートル幅紙キャリアテープ

 紙テープは0402~3817サイズのチップ部品に対応。トラバース巻で1600~4800メートルの長尺巻が可能で、テーピング工程での生産性、低コスト化を推進できる。

 積層セラミックコンデンサー(MLCC)やチップ抵抗器向けは、特に0603および0402サイズ用の受注比率が高まりつつある。両サイズは、スマホをはじめ、各種モジュール、IoT端末などに向けても需要が増加している。

 自動車向けSMDは、小型で高耐熱、耐振動・衝撃など、特有の要求事項を満足した高信頼性タイプの需要が増加している。同社のキャリアテープ事業でも、高信頼性の大型SMD向けの受注も活発化している。

 半導体パッケージ用プラスチックエンボス品は、8~56ミリメートル幅テープでの供給が可能で、高密度実装用から異型チップ、大型SMD、チップLEDなどさまざまな種類のSMDをテーピングできる。